若者が狙われる「マンション投資」商法。そのカラクリを明かす
シミュレーションにない“隠された数値”
……しばらく絶句です。まずこの試算表で一番足りない数字は何だと思いますか? それは「毎月支払うローンの額」です。ここを隠して話す投資業者は、個人的に一番信用をしていません。
この隠された数値は、シミュレーション表から類推できます。
支払利息は年間64.8万円とかかれていますね。頭金を10万円として考えて逆算すると、投資用ローン2990万円・金利2.19%・期間30年で購入した結果とぴったり一致します。
このローンの毎月の返済額は11万3378円です。
ローン以外にも費用が発生します。シミュレーション表では「管理費、手数料」という非常にざっくりとした書き方をされていますが、「入居者の管理」と「物件の管理」の費用を足した合計だと思われます。
返済額を計算すると「やや赤字」
家賃は年間120万円のため、月額家賃は10万円。入居者の管理は「管理委託手数料」で、相場はだいたい家賃の5%程度、つまり5000円です。
物件の管理は「マンション管理費」と「修繕積立金」で、これはマンションや部屋の広さによって変わりますが、前述のシミュレーションから試算すると、これ月額は6916円です。少し安すぎる気もするのですが、気にしないでおきましょう。
つまり、家賃収入からこれらを引くと、<10万円-(11万3378円+5000円+6916円)=▲2万5294円>となり、毎月2.5万円の赤字となります。年間に直すと30万円。
お、前述の年間の節税額とほぼ一緒ですね。「だから実際には赤字じゃない。元本の部分は貯蓄になるし、ローンには団体信用生命保険もつくので生命保険替わりにもなる」という営業トークに使われるのでしょう。