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アイボ、電気自動車…ソニーが目指す「ロボと人間が共生する」世界

コラム

AIとロボティクス技術の未来

ワイドスクリーン

VISION-Sの直感的なUIに優れたワイドスクリーンの様子

 aibo以外にも、ソニーが目指すAIとロボティクス技術を生かしたプロジェクトがあり、それが早くも話題になっている、aiboと同じ事業部門が主体となって推進したコンセプトカーEV「VISION-S(ビジョン エス)」だ。

「米ラスベガスで行われた電子機器の見本市『CES 2020』で展示発表して好評を得ましたが、これからのモビリティ(移動)について、ソニーが得意とするセンシング技術で、境地を開こうと取り組んだプロジェクトです」

 ソニーの最先端技術を結集させたプロトタイプは、自動車産業に訪れる「100年に1度の大変革」を見据えたもので、モビリティの未来を示している。

「センシングデバイスを車内外に33個搭載し、走行時の安全性を極限に高めています。また、ドライバーと助手席前のワイドスクリーンでは直感的なUIによって操作性を向上させ、臨場感を生み出す音響(360 Reality Audio)を実現により、車内でのエンタテインメントをより楽しめるものとなっています。まだ試作段階ですが、人間と車との連携もこれから模索していきたいですね」

どう共生していくかが問われる社会に

ソニー

ソニー株式会社 クリエイティブディレクターの石井大輔氏

 AIやロボティクス技術が発達することで起きる懸念。それは「ロボティクスが人間の仕事を奪ってしまう」ことだろう。映画『ターミネーター』のように、ロボティクスと人類が戦争するといった世界はにわかに想像し難いものの、人間が行うべき仕事が変化していくのは明白だ。

「ロボット社会の到来に警鐘を鳴らす見方もありますが、前提として人間が介在しないと、ロボティクス技術の良さが生まれないと思います。今回の展示ではaibo以外に球体や正四面体など、必ずしも人間や動物のよう二足や四足で歩行するのではなく、プリミティブな造形物にロボティクス技術を用いた。

 家具のように空間に佇みつつ、人間とインタラクティブ(双方向)なコミュニケーションができるよう演出しました。ロボットを管理する社会ではなく、共生していく社会へ。ネガティブに考えるのではなく、どう人間とロボットの調和を考え、棲み分けていくかが求められてくるでしょう」

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