インフルエンザ、新型肺炎は“有休扱い”で休むのが正解?
診断されて何日後から出勤できるのか?
そもそも、インフルエンザと診断された従業員の出勤を、いつから許可することが妥当なのでしょうか?
ひとつ参考になる指標として、学校保健安全法施行規則で定める基準があります。そこではインフルエンザの出席停止期間を「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」と定めています。
このルールによれば、発症した次の日に熱が下がったとしても、発症の日を含めて少なくとも暦日6日間は登校できないことになります。
インフルエンザによる出勤停止についての法律の定めはありませんので、これに準じてルールを決めることも考えられますし、都度医師の指示に従うよう徹底することも考えられます。
従業員の側も守るべき義務がある
先ほど、出勤しようとする従業員を休ませる場合には、休業手当を支払う必要がある場合があるとお話しました。使用者(会社)には、従業員に安全な作業環境を提供し、健康保全を行うという「安全配慮義務」が課されており、インフルエンザを社内に持ち込む危険のある従業員の出勤を禁じ、他の従業員へ感染しないよう配慮する義務があります。
一方で、従業員も完全な労務の提供ができるよう、会社による安全衛生に関する指示をきちんと守り会社の指示に協力すること、自身の健康をこころがけること、いわゆる「自己保健義務」があると言われており、この場合であればしっかり休養し、万全な状態で仕事に戻ることを指します。
このような事情を考慮すると、インフルエンザで体調が万全でないにもかからわらず出勤しようとする従業員に、一概に使用者が6割払わなくてはならないというのも、実務的にはなかなか判断に苦慮(くりょ)する面があることがおわかりいただけると思います。
会社は、日頃から従業員に情報を発信し、インフルエンザにかかった場合は社内感染を防ぐためにもしっかり休むよう意識を徹底させることが大切です。