日本の「スヌーピー人気」が再燃した理由。“女きょうだい”が決定づけた女性支持
スヌーピー人気に火をつけた緻密な戦略
今でこそスヌーピーは人気キャラクターとして定着しているが、SCPが2010年に日本国内での長期独占エージェント契約を締結した当時は、10~19歳といったティーン層にはあまり認知されていなかったという。
「10年前は40代、50代のファンが中心で、女子高生など若い人にスヌーピーは響かなかった。当時の若い女性は『ガーリーなキャラクターが好き』という価値観があったことから見ても、スヌーピーはそこを打ち出すのが難しかった」
では、どのような形で認知拡大に成功し、ティーン層に受け入れられるようになったのだろうか。
「まず、マス(大衆)向けに対しては『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』や『世界ふしぎ発見!』といった人気テレビ番組とのコラボにより、お茶の間で浸透させるようなPRを行いました」
きょうだい唯一の女の子がファン層を広げる
また、若い女性に注目してもらうためのPRにも工夫を凝らした。
「50年に渡って続いた連載の中で、数回しか登場しないスヌーピーのきょうだい唯一の女の子“Belle(ベル)”に着目しました。ピンクのリボンや長いまつげがチャーミングで、展開次第で女性にも支持されるのではと考えたのです。
しかし、シュルツ氏のご遺族は、作者のオリジナティを大切にしていることから、コミックに出てきた絵しか使用は許されていませんでした。そのような想いを汲み、最大限配慮するよう交渉した結果、1年間限定でまつげを強調させたり、カラコンを入れたりしたベルを使う許可が下り、ティーン読者を多く抱える雑誌中心にプロモーションしたことで、若年層女性ファンの裾野を広げるきっかけになりました」
このような取り組みが功を奏して、6年前から『ニコラ』や『Seventeen』といった雑誌では、スヌーピーが人気キャラクターNo1を維持しているという。
「スヌーピーのファンのうち7~8割は女性だが、今後はラグビー日本代表やバスケットボールのB.LEAGUE(Bリーグ)など、スポーツとのコラボを通じて男性のファンも獲得していきたい」と渡辺氏は意気込んだ。