“過労死ライン”を超えて、睡眠障害に

　その後、近藤さんは部長に昇進しますが、条件はほとんど変わらず、勤務状況は悪化しました。

「部長に昇進しても、給料が多少上がっただけ。仕事量はもちろん増加。月の残業時間も80時間超えがザラになり、ストレスから睡眠障害になってしまいました。

　しかも部長に昇進するのを聞いたのは、辞令が出た2日前。総務関係がしっかりと行き届いた会社なら1か月前には本人の内示が出るのが常識ですよね。そういった連絡事項が共有されていないからこそ、めちゃくちゃな勤務体系が野放しになっているのでしょう」

　近藤さんは労働基準監督署にいまの現状を通報する予定だという。

「指導勧告が行くはずなので、それで改善されなければ退職します。その時は労働審判や弁護士を雇って、残業代を回収して仕返ししたいです」と語る近藤さん。個人の尊厳を脅かすブラック企業は、復讐されて当然なのかもしれません。

― 特集・令和の「ブラック企業」事件簿 ―

＜取材・文／すずきおさむし＞