姉に対する敵意が剥き出しに

　それでも結衣菜さんはブライダルにこだわって就活を続け、業績を伸ばしている新興企業に入社が決まりました。

「苦労して内定を取ったのを知っていたので、自分のことのように嬉しかったです。結衣菜も私と同じ業界で働けることを喜んでいました。最初のうちは仕事についての話を、以前と変わらぬテンションで聞いていたんですが……。1年も経たないうちに様子が変わってきました」

　お互い実家暮らしであるため、毎日のように顔を合わせていましたが、由香里さんが話を振っても、なぜか結衣菜さんはあまり乗ってこなくなってしまったそうです。そればかりか、結衣菜さんは由香里さんが勤めている会社を批判するようになりました。

「『由香里の会社は、お客さんから利益を取りすぎている、お客さんのことを考えてない』といったことを言うようになったんです」

ビジネスモデルの違いが生んだ姉妹の溝

　結衣菜さんが勤めているのは、低価格での結婚式によって業績を伸ばしている企業です。結衣菜さんの発言は、そうした会社のビジネスモデルに影響を受けたものだったのかもしれません。

「『色々な式があって良いと思うし、お金をかけるかどうかはお客さんが決めることでしょ』と何度も説明したんですが、結衣菜は全く聞く耳を持ちませんでした。そればかりか『あんな会社で働いている由香里のことが信じられない』とまで言うようになりました。

　気づけば、私も顔を合わせるたびに結衣菜を否定するようなことばかり言うようになっていました……。間近に存在を感じることすら苦痛になって、結局実家を出ることにしたんです」

　その後しばらくして、結衣菜さんも家を出ています。