通常は遅延が免責されるように規定されている

――時間指定したのに呼び鈴を鳴らさず、不在連絡票だけ置いて帰ってしまった配送業者。これっておかしくないですか？ そもそも時間通りに配達にこないことが多すぎるような……。

後藤：確かに配送業者には、荷物を荷受人に引き渡す義務があるので、原則として、時間指定した時間に本人に荷物を引き渡すことが必要です。

　もっとも配送業者のホームページに細かい約款（しゃっかん）が定められており、配送業者が荷物を届けるのに遅延があったとしても、免責されるように規定されているのが通常です。

　また荷物の配送契約は、荷送人と配送業者との契約であり、荷受人と配送業者との契約ではないので、荷受人としてはこのような配送業者の不手際を受け入れるしかない、といえます。

置き配で傷がついていても補填はされない

――置き配を頼んだら、荷物が傷ついていたんです。この場合、第三者が動かした際に傷ついた可能性もありますが、配送業者にクレームを入れたら何かしらの補填がされるのでしょうか？

※置き配……玄関先や宅配ボックスなど、指定した場所に荷物を置いておく非対面の配達形式

後藤：傷の程度にもよりますが、こちらが置き配指定した以上、置き配をした場合に付きそうな傷については、補填はされない可能性が高いです。また、配送業者のホームページには、細かい約款が定められており、荷物に傷がついている場合なども、免責されるケースが多いです。

　明らかに運送業者の重過失が認められるようなケースであれば、損害補填をしてくれる場合もあります。しかし、この場合でも、運送業者の責任限度額の範囲に限定される可能性が高く、例えば高価なものが損傷した場合でも、その価値の分を補填してくれるとは限りません。

　ですので、傷がつきやすそう物は置き配を頼まない、高価なものを運んでもらう場合は運送業者の保険を利用するなど、配送物に応じた方法を選択する必要があります。

＜取材・文／蒲須坂正男＞