新京成電鉄、新型車両「80000形」を公開。年の瀬にデビュー
新京成電鉄(以下、新京成)はN800形以来、14年ぶりの新型車両として80000形が2019年10月に登場。京成グループの標準車両として、京成電鉄(以下、京成)と共同開発したのが特長だ。京成は2代目3100形として、10月26日にデビューしている。
80000形は12月21日に新京成線くぬぎ山―新津田沼間で試乗会を行なったあと、12月27日より営業運転に就く予定だ。現時点、“2010年代最後の新型車両デビュー”となりそうな80000形。そこで同年代新型車両の象徴的な部分も併せてお伝えしよう。
日本初、“80000台形式”の鉄道車両
『鉄道ニュース』(交友社刊)を見る限り、日本の鉄道車両で“80000台の形式”が初めて姿を現したのは、新京成80000形。2週間後、近畿日本鉄道80000系ひのとりが続いた。
なお、東武鉄道にも80000台の車両が存在するが、これは「8000系」で、1963年から20年間にわたり712両が投入されたため、編成番号100超の車両が現れたのだ。
さて、新京成によると、今回の新型車両を「80000形」としたのは、「今までのクルマ(自社車両)からのイメージの刷新」と「末尾ひとケタを車号とするので、4ケタ+1ケタで5ケタにした」という。すなわち、80000形の一の位は車号、十と百の位は編成番号を表す。
例えば、今回お目見えした第1編成の1号車は「80011」、2号車は「80012」と続き、6号車は「80016」である。
14年前の新型車両N800形は将来の8両編成化を見込み、中間車の車号末尾4・5を欠番としたが、80000形は最初からその予定がないのか、1~6にそろえた。
エクステリア:ジェントルピンクを全面に
車体はステンレス。カラーリングはコーポレートカラーのジェントルピンクを基調に、アクセントカラーのホワイトを用いた。車体上部にジェントルピンクを配することで、高架区間走行時もコーポレートカラーが周囲から見えるようにした。
ヘッドライトはLEDで、上半分の点灯をロービーム、全点灯をハイビームとしている。2010年代の鉄道車両はLEDヘッドライトが“大ヒットアイテム”となり、新型車両だけではなく、既存車両にも導入され、スタンダードと化した。
テールライトも昭和の時代から普及していたLED。細い部分は急行灯も兼ねているが、新京成は各駅停車のみ運転なので、灯ることはないだろう。
デジタル方向幕はセレクトカラーLEDを採用。側面はN800形と比べ大型化し、視認性を向上した。新京成の車両はすべて各駅停車のみ運行のため、JR東日本E233系などのように、次の停車駅などは表示しない。
また、行先については、近年普及しつつある左端に駅ナンバリングを配した。ちなみに路線記号SLは「Shin-kei-sei」の「S」、「Line」の「L」からとったという。
本当は「Shin-Kei-sei」の「SK」を使いたかったそうだが、別の鉄道事業者が先に使ったため、「SL」に落ち着いた。車体側面の車両番号はホームドアの設置を見据え、車体上部に掲示した。
VVVFインバータ制御は、2010年代中盤から実用化されたフルSiC素子を適用。VVVFインバータと断流器が一体となり、小型軽量化された。また、高効率な主電動機などを採用することで、消費電力がさらに低減。N800形と比較して、約19%の省電力化を図った。
注目なのは、乗降用ドアの両脇にゴムが設置されたこと。きいたところ、走行中に発生する「ヒュールルー」といった風音(ふうおん)を低減するほか、誤って“ゆびづめ”したとき、指が抜けやすいようにする役割があるという。