10人中3人の若者が「成人式に出たくない」20代の本音とは?
成人式は、地元に残った人のための式典?
さらに、それを見て笑う同級生に、達也さんは「注意するどころか、笑う。信じられませんでした」と憤ります。
「結局、みんな顔なじみ同士だし、成人式って地元に残った人のための式典だと思うんです。僕みたいに都会に生活を移した人たちは除け者扱いです。はっきりとは言われませんでしたが、なんとなく薄いベールで区別されている感覚です。成人式が終わって、仲の良かった高校時代の友人と少し話しましたが、結局、その日の夜に行われる同窓会には参加しませんでした」
成人式に出席したことを今でも後悔している達也さん。地元の友人とは「同窓会に参加しなかったことが原因で気まずい関係のまま」だといいます。
中高時代が黒歴史で友達が少なかった…
そんななか、成人式に欠席した理由を「当たり前のように出ませんでした」と述べるのは、ライターとして働く由美子さん(24歳・仮名)。
「成人式に出なかった人は自分の両親くらいしか知りませんが、父は『案内状が来なかったから出なかった』と語っていて、母は『興味がなかったから出なかった』そうです。そんな感じの家庭で育ったので、私も欠席することに抵抗はありませんでした」
前出の達也さん同様、由美子さんも大学進学を機に、地元沖縄から東京に引っ越したといいます。
「正直、中高時代は黒歴史だったので、もともと友達は少なく、わざわざ行っても周囲から浮いてしまう。友達もいないのに、沖縄まで高いお金をかけて飛行機で帰るのはバカバカしかったです」
成人式にはお金がかかりすぎる
また、女性ならではの悩みもあったとか。
「容姿に自信がないので、振り袖を着たり写真を撮ったりするのに乗り気でなかったです。振り袖やヘアメイクって、お金がかかりすぎですよね? 着付け込みのレンタルで10万~20万円とかするし。周りが華やかに着飾っているのに、一人だけスーツ姿で行くのも嫌でした」
最後に「そもそも成人式というものの存在意義がわからないし、興味がない」と言い切った由美子さん。参加しなかったことに後悔などまったくなさそうです。
成人式は人生に一度だけと言いわれていますが、出席しても後悔している人、自分の意志で不参加を決めた人などさまざまな声があります。まさに今日、成人式に行きたくないなぁと思っている人は、もう一度、自分の胸によく問いかけてみてはどうでしょうか。
<取材・文/詠祐真>