洗脳、性被害も…私が体験した“ブラック就活塾”の最悪な実態
あえて塾長と良好な関係をつくる
以降、私は塾長Tの暴挙を食い止めるという目的だけのために、どの学生よりも塾長Tと良好な関係を構築することに努めました。そうすることで、塾長Tに対する私の発言権を少しずつでも上げようと考えたのです。
具体的には、キーエンス内定後の1年間、秘書としてそのブラック就活塾でアルバイトをしました。
これらにより法律の知識を中心とした、「論理的思考力」や「シミュレーション能力」が養われたのは皮肉なものです。何かあったときにはすぐに裁判を起こせるよう、その1年間、私はその塾長Tの言動や行動を監視し、意図や裏の想いを先読みしながら立ち回ることをし続けました。
逆に私が少しでも発言を油断したら塾長Tはそこをついて塾内に私の悪い印象操作をしかねないため、ひとことひとこと、自分の発言にも注意を払っていました。
塾長との“静かな戦い”の結果
ここまでブラック就活塾での取り組みを話してきましたが、結局、私は最後の1年間も誰も守ることができませんでした。
常に、塾長Tの立ち回りや洗脳が私を上回っていたのです。あるとき、被害者の女の子に警察に行こうと説得しているときに、その女の子から言われた言葉は一生忘れられません。
「親にバレたらまずいから警察にはいけない」「いま塾長Tが捕まったら他の学生の就活が失敗に終わるから警察にはいけない」
「あぁ、結局は権力か……」と、私は呆然としました。
それと同時に、就活に関して、私が塾長T以上の実力を持っていれば、こんなことを言わせなくて済んだかもしれないと思いました。これは私の人生の強烈な原体験です。
私の大学生活は「負け」で幕を閉じました。そして、それ以降、私はずっと就活支援の事業を続けています。塾長Tとは違い、倫理観を持ち、真に就活生のために支援すると誓いながら。