定期券の分割購入で通勤がお得に。年4万円浮く路線も
わざわざ2枚の定期券を持ち歩かなくても大丈夫
ちょっとした長距離通勤ではあるが、東京駅から八王子駅までの通勤6か月定期を買う場合を例に取って見てみよう。
「東京~八王子」の定期券を通しで買うと、営業キロ数は47.4キロで、運賃は11万6990円になる。しかしこの中には、私鉄の京王線と競合する「新宿~八王子」という区間が含まれている。
そこで「東京~新宿」と「新宿~八王子」の2枚に分けて買うと、前者は2万8460円(10.3キロ)、後者は6万9560円(37.1キロ)で、合計9万8020円と大幅に安くなる。
その差額はなんと1万8970円。つまり、1年間で4万円近くの「おこづかい」が戻ってくる計算になるのだ。わざわざ分割した駅で下車して改札を通らなくても大丈夫。これはJRも認めている買い方であり、違法性はない。
通勤手当の支給額がどうやって決まるかは職場の就業規則にもよるが、多くの場合、「合理的な金額(=分割前の実費)」が支給されると定められている。一度支給された手当をどう使うかは基本的に労働者の専権事項なので、定期券の分割で浮いたお金は「通勤へのご褒美」として素直に受け取ってしまおう。
ところで、「2枚の定期券を持ち歩くのは面倒」という懸念もあるかもしれないが、これは「みどりの窓口」に申し出ることで、1枚の券面にまとめることができる。タッチ・アンド・ゴーの便利なSuicaにすることも可能。ただし分割が3区間以上に及ぶ場合、このサービスは利用できない。
複雑すぎる運賃制度を攻略するには
とはいえ複雑な東京の鉄道網。自宅の最寄り駅から職場の最寄り駅まで、どのように分割すれば一番安くなるかを総当たりで計算しようとしたら、それだけで日が暮れてしまう。
そこで使えるサイトが「乗車券分割プログラム」だ。ここでは基本的な使いかたをおさらいしておこう。
まずは目的地の含まれる路線を選択し、「送信」をクリック。「発駅」から目的地の駅名を選択し、再度「送信」をクリックすると、その駅に通じる路線が選択できるようになる(「自動送信」のチェックボックスをオンにすると、「送信」をクリックする手順は省略可能)。
乗り換えがある場合には、その都度「駅名」→「送信」→「路線名」→「送信」の手順を繰り返していく。なお、普段は直通電車で1本の場合でも、後述する「線路名称」が異なると、この作業が必要になることがある。
最後に「券種」として「定期乗車券(通勤*箇月)」を選択し「送信」をクリックすると、分割が可能な場合のみ、分割後の運賃と差額が表示される。前述したサービスで定期券を1枚にまとめたい場合、「最大分割数」を「2」にしておこう。
ただし、路線名はすべて正式な「線路名称」で表記されているため、鉄道に詳しくない人には少しとっつきにくいかもしれない。
たとえば東京から新宿まで中央線を使う場合には、「東京」⇒「東_東北本線(東京-盛岡)」⇒「神田」⇒「東_中央本線(神田-代々木)」⇒「代々木」⇒「東_山手線(品川-田端)」⇒「新宿」のように進む必要がある。実はこちらが鉄道路線の「本当の名前」であって、我々がこの区間をすべて通して「中央線」と呼んでいるのは、あくまで便宜的なものなのだ。