ソニーの新型「PS5」が発売決定。待望の8Kハードの性能は?
8Kに対応しているのは60型以上!
数字の上では素晴らしいばかりの8K解像度だが、普及の途は遠いように思える。ここ数年、4KのテレビやPC用モニタが順調に値下がりしているのに対し、8Kテレビは型落ち品や中古品でも30万円台半ばを下らない(10月16日時点)。
しかし値段以上に問題なのは、モニタのサイズである。4Kなら24~30型にも豊富なラインナップがあるのに対し、「8Kテレビ」として売られているのは60~80型が主。一応プロ用途として31.5型の8Kモニタも存在するが、価格帯は大型と大差ない。
60型以上のサイズになると、適切な視聴距離を稼ぐためには、少なくとも10畳程度の整理されたリビングルームが必要になる。したがって都心で働く単身者の多くにとって、8Kテレビは「夢のまた夢」のようなアイテムになってしまっている。
過去30年の間に液晶や半導体がめざましく進化したのに対し、日本の都市部の間取りは、ファミコンを遊んでいた時代からほとんど向上していないのである。若手サラリーマンの給料では、どうやったってモデルハウスのような新築マンションは借りられないのだから仕方ない。
もっとも、普及が進んでいないからといって、PS5の目玉「8K出力」機能に用途がないわけではない。たとえばeスポーツの大会では、特別な装置を用いずとも、巨大なディスプレイに最高の解像度で出力することができる。
ゲームボーイ、Switch。任天堂のハード戦略
初代プレイステーションが市場を席巻した90年代後半、ニンテンドー64が振るわない老舗・任天堂を支えたのは、液晶一体型の携帯機ゲームボーイだった。
ソニーと対照的に、任天堂のハード戦略は必ずしもハイエンド志向ではない。任天堂はこの10年の間に、コントローラにタッチパネルを搭載したWii U、そして本体に液晶一体型を採用したSwitchを通じて、「据置機」と「携帯機」の垣根を取り払ってきた。
Switchなら、寂しいワンルームマンションや子ども部屋でも問題なく遊ぶことができる。海外市場は別として、日本のお寒い住宅事情に合致しているのはこちらのように思える。「それならスマホでいい」「タブレットでいい」ということになりかねない難点を抱えてはいるものの、現在のところはコンテンツの魅力がそれを補っている。
ところでソニー陣営にも、ヘッドアップディスプレイの「PSVR」がある。これなら6畳間でも、部屋さえ片付いていれば没入感のあるバーチャル体験が可能。ただし製造技術の問題から、次世代の「PSVR2」でも8K解像度の実現は困難と思われる。PS5の最高のグラフィック技術が「宝の持ち腐れ」になるのはやはり惜しい。