元公務員ランナー・川内優輝が、世界陸上にこだわる理由
98回目のマラソンは23時59分スタート!?
6月には実際にドーハに飛び、下見を済ませてきた。コースを走っただけでなく、レース前夜にはゲン担ぎとしてカレーを食すことが欠かせない川内だが、カレー店もどこにあるかばっちりチェックしてきた。
「治安が良さそうなのは安心しましたが、思ったより暑かったし、環境は想像以上に過酷。もちろん、昼間の45℃に比べれば夜は25℃から28℃くらいまで下がってまだマシですが、湿気があってムワッとした嫌な暑さでした。15分くらい走っただけでも汗が止まらなくなりましたし、いままでの世界陸上のなかでも一番キツいのは間違いないですね」
これまで97回のマラソンを走ってきたとはいえ、さすがに深夜23時59分のスタートは初めてだ。
「下見に行ったときも、昼夜逆転の生活で走っていましたが、本番でも時差を少しだけ調整して、昼間寝る感じでやると思います。夕方起きて、朝食か夕食かわからない食事をしてアップするみたいな(笑)。ただ一度事前に経験できたのは大きいし、今回はこれまで以上に準備に時間が取れます。そこは、プロになった利点ですね」
プロになってSNSも解禁「自由にやっている」
プロ転向後は、環境も大きく変わった。いままでは長期合宿など夢のまた夢だったが、今夏はランナー人生で初めて1か月超の北海道合宿を敢行。通常実業団選手は月間約1000kmを走り込むとされているが、これまで川内は平日は仕事で一日8時間は拘束されるため、一日2時間の練習で月約600km走るのがやっとだった。
「正直、プロになっても6月くらいまでは何かと慌ただしかったのですが、夏場は北海道を拠点にしてしっかり走り込みができました。8月だけでも約1000kmは走りましたし、マラソン人生最大の走り込みをしたことで自分自身どこまで変われるかは楽しみなんです」
プロになったことでツイッターやフェイスブックなどのSNSも始めたが、反響は賛否あるようだ。
「公務員時代は、勝手な発言をして怒られるのも嫌だったので手をつけていませんでしたが、プロになったので自由にやらせてもらっています。面白いと言ってくれる人もいれば、なかには長すぎるとかクドいという意見も。でも、面白いと思ってくれる人だけ読んでくれればいいんです」