優秀な中国人の新入社員が「社長を呼び捨て」にした理由
電話応対で社内の人を「様」づけした理由
それは、クライアントからの電話の受け継ぎで、周さんが社内の人間に敬語を使ってしまったことです。
「私宛ての電話だったらしいのですが、『小阪さまは今、席を外しておられます』と言ってたようで、近くの人が注意してくれたようですが、いまだに混乱しているようです。仕事的にクライアントの機嫌を損ねたら終わりなので、毎日ヒヤヒヤしています」
きっと社内で電話を受けたから、敬語が必須だと思ってしまったのでしょうね(周さんにちゃんと英語で伝えられる人はいないのでしょうか?)。
プレゼン時に舌打ち…国によって違う舌打ちの意味
さすがに日本の大学に4年間通っていただけあって、日本式の礼儀作法は心得ているそうですが、周さんは頻繁に舌打ちをするそうなのです。ただし日本人は機嫌が悪い時に舌打ちが出ますが、外国人の場合、理由は異なるようです。
「彼曰く、言葉に詰まった時にどうしても舌打ちをしてしまうようなんです。『子供の頃からそうだし、中国人はみんなそうだし、直すのが難しい』と言われました。本当かどうかはわかりません。もしかしたら、彼がそう言っているだけかもしれないので……でも、さすがにクライアントへのプレゼン時に舌打ちされてしまった時は、また顔面蒼白になりました」
想像するだに気まずそうです。ただ、これは中国人だけでなく、他の欧米人にも共通するくせのようなもので、彼らは10代の可愛らしい女の子でも、言葉に詰まると舌打ちをするのです。
「でも、サービス業なので、『さすがに仕事中の舌打ちだけはやめてくれ』とはしつこく言ってますね。それが直るまで客先には連れていけません。国が違うから文化が違うのは当たり前ですが、仕事をするのであれば当然、その国の文化に合わせほしいですからね」
今の時代、外国人がいる職場が増えています。どこまで文化の違いを許容するのか、どう伝えれば伝わるのか、企業側の器も試されているようです。
<取材・文/白戸ミフル イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>