芸人・品川祐が語る「ブレイクとバッシング」を経て見えた新境地
最初のボケで「あ、違う」って思った
――M-1グランプリ史上、もっとも関西勢の多い決勝でしたが、なにか感じたことは?
品川:当時、僕らはテレビに出てたし、わりとイキがってたし、関西勢に恨まれてるなって空気はありました。会場そのものもアウェーって感じでしたね。で、いざ実際に決勝の舞台に立って、最初のボケを言った瞬間「あ、違う」って思って。庄司もネタ中に噛んだんですよ。顔見たら、バッキバキにこわばってて「もう終わったな」と。あとは、からだが覚えてるままにネタやった感じですね。
僕はスベッた記憶しかなかったんですけど、5年後ぐらいに庄司とM-1グランプリ2005のDVDを見たんです。そしたら、ネタ終わりに司会の今田(耕司)さんが机の下で親指立ててくれてた。それ見て「思ってたほどスベッたわけじゃないんだ」って話した記憶がありますね。
――今年は全国ツアーを開催。改めて漫才は品川さんにとってどんなものだと感じましたか?
品川:単純に楽しいですね、やっぱりセンターマイクでしゃべるっていうのは。それに尽きると思います。
「僕が脚本書くから」で長編監督デビュー
――2006年に小説『ドロップ』を出版後、09年に同名の映画で長編監督デビュー。もともと映画好きだったそうですが、ご自身で撮ろうと思ったきっかけは?
品川:もともと芸人で成功したら、映画を撮りたいと思ってこの世界に入ったっていうのもあるんです。だから、『ドロップ』の映画化の話が来たときに、「映画にするなら僕に監督をやらせてほしい」と伝えて。
事務所は反対してたんですけど「じゃ僕が脚本書くから、角川(映画)さんに判断してもらいましょうよ」って提案して、結果的に認めてもらえたことで撮ることになった感じですね。
――来年には映画『リスタート』の公開が控えています。初の青春ストーリーですが、手応えはいかがですか?
品川:脚本の設定を思いついたときに、『家、ついて行ってイイですか?』って番組に出てたフォークデュオ「HONEBONE」のEMILYを見て「ヒロインはこの娘だ」と思ったんです。台詞も当て書きしました。
今回の映画って予算もないし、めちゃめちゃしんどかったんですよ。今後やっちゃダメだろってレベルなんですけど、ぜんぜん誰も文句を言わない熱量の高い現場でした。クランクアップのときには、みんなで「ワ~ッ!」って泣くぐらい気持ちよく終われましたね。