元代理店マンが飲食店バイトに…意識高いアピールで周囲はドン引き
「細かな指摘」が徐々にエスカレート
さらに、石田さんは思わぬ行動に出ます。
「彼は、接客以外の業務を何もしなくなりました。ホールのスタッフとはいえ、ドリンクを作ったり、洗い物をしたりするのもアルバイトの仕事です。ドリンクや料理の提供が遅れて、お客様からのクレームが増えました。
それとなく洗い物をお願いしても、『僕はオーナーから接客業を頼まれているので』の一点張り。挙げ句の果てには、『学生アルバイトたちの仕事が遅い』とまで言うようになりました。他のアルバイトとは違うというプライドがあるのでしょう。『一回社会を経験しているので』というのが彼の常套句でした」
あまりの横暴ぶりにオーナーに助けを…
大村さんを含めたアルバイトたちは石田さんの振る舞いにうんざり。オーナーに直接不満をぶつけました。
「石田さんの振る舞いを知って、オーナーは驚いていました。そもそも石田さんは、オーナーに頼み込んでアルバイトになったみたいなんです。元広告代理店勤務というのは本当みたいですが、聞いたこともない会社でした。僕たちには大手に勤めていたようなことを言ってましたけどね(笑)」
さらに大村さんは、石田さんの「意外な経歴」を知ることになります。
「彼、実は奥さんと離婚協議中みたいなんです。それも彼の浮気が原因。『起業したい』というのも嘘ではないかもしれませんが、本当にそのために会社を辞めたのかはわかりません。小さな子供もいて、色々とお金がかかるのでアルバイトする必要があったというのが本音でしょうね」
態度を改めたのもつかの間…
後日、石田さんにオーナーは厳しく注意。「次に同じことがあれば辞めてもらう」とまで言ったそうです。
「僕たちアルバイトにも謝罪をしてくれましたが、明らかに不服そうな態度。他のアルバイトから、いまだに洗い物はやりたがらないと聞きました(笑)。このままでは店が回らないので、オーナーも石田さんには辞めてほしいみたいです」
しかし、相変わらず大村さんの店は人手不足。辞められてしまっても、シフトが埋まらなくなってしまいます。
「きっと石田さんもそれがわかっているので態度を改めないのでしょう。僕ももう辞めてしまいたいのですが、オーナーの気持ちを考えるとなかなか言い出せません…」
「元広告代理店勤務」という経歴が、変なプライドを作ってしまった今回の例。モンスターアルバイトに社会人経験の有無は関係ないということでしょうか。
<取材・文/ミノワリク>