平均年収2000万円・キーエンス入社試験の超難関「説得面接」とは?元社員が解説
説得面接のお題は2パターン
他にもたくさんのお題がありますが、上記の例から、お題のパターンが以下2種に分けられることがわかります。
① 2つの事象の比較をベースに説得を試みるお題
② 1つの事象のみをベースに説得を試みるお題
大半が①に当てはまりますが、下記4つは②に当てはまります。難易度としては、②のほうを難しく感じる学生が多い印象です。
・祭り嫌いを好きにさせてください
・美術館嫌いを好きにさせてください
・新たに銀行口座を開設させてください
・水族館を好きにさせてください
それでは早速、上記のお題を用いる「説得面接」では一体何が測られているのか? 主に以下3点であると考えています。
① 傾聴力
② 多角的思考力
③ 説得力
それでは①の傾聴力から解説していきます。
キーエンスで測られる能力① 傾聴力
この言葉を聞いたことは、もちろんあると思います。そして、実際には「話すこと」よりも「傾聴すること」のほうが何倍も難しいと思うビジネスマンは多いはずです。
これはその通りで、キーエンスでは傾聴力および、それに伴う顧客ないしは他の社員との「コンセンサス(合意)」を何より大切にします。他者との「理解の齟齬(そご)をなくす」ということに命をかけていると言っても過言ではありません。
実際に、私もキーエンス退社後に多くのビジネスマンや経営者と関わってきましたが、この「コンセンサスの徹底度合い」に至っては「キーエンス社員は至高だな」と今でも思っています。
そんな重要要素「傾聴力」は、もちろんこの説得面接でも測られていると想定できます。これを踏まえ、具体的な手法として必ず押さえなくてはならないのは、下記2点だと捉えています。
(1)聞き出しからスタートしなきゃ負け確定
(2)一言一句、ロジックを注視する
まず(1)について、上述の話を聞いたあとだと「あたりまえでは?」と思う方も多いかと思いますが、実際の面接ではできていない学生が少なくありません。
これをせずに、自身の勝手な解釈をもとに説得を試みた挙句、的外れな提案をしてしまい、結果として、まったく面接官に話が響かずにタイムオーバーになるという事例を幾度となく見てきました。
また余談ですが、これに陥る学生は比較的関西の学生に多く、具体的な特徴として、コミュニケーション能力を「物おじせずに、ただただ他人とたくさん話せる力」と勘違いしている学生に多いです。
次に(2)について。もちろん上記の「聞き出しに徹すること」は重要ですが、同時に相手の発言から常に説得余地を探らなければいけません。ただ聞くだけ聞いて、そこから何も感じ取れず……ではまったく意味がないことは分かるかと思います。
これについては、普段から言葉の定義や論理のズレに敏感になるように訓練するしかなく、「これってどういう意味だろう?」「どうしてこれはこうなっているのだろう?」と、日常に疑問持ったり、問題提起をする必要があります。
常日頃、ぼーっと生活している学生の多くは、この段階でつまずきます。説得面接の3分間という時間軸では、傾聴部分は基本的に冒頭に当たるので、結果として多くの時間を無言で過ごす、地獄の時間を過ごすことになります。