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IT革命が「中国のヤクザ社会」に及ぼした影響。男が失うものとは何なのか

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マーティン・スコセッシ監督に言われたこと

ジャ・ジャンクー

――1990年代に、マーティン・スコセッシ監督から「低予算で映画を撮りつづけなさい」と言われたそうですが、多くのコマーシャルな大作を手掛けるスコセッシ監督のこの言葉を監督はどう捉えていますか?

ジャ監督:それは、「独立性の高い作品を作り続けろ」というアドバイスだと私は捉えています。商業主義ではなく、作り手として自分にも観客にも誠実に、芸術性の高い作品を創り続けることが大切なんだと。

 本作のチャオとビンは駆け出しの頃の私の人生を思い出させます。その当時、自分の思うままに社会の真実を表現する映画を作ることは危険でした。しかし、私が歩んできた48年間の人生を使って、歴史的にも激動の変化を経験してきた現代中国をラブストーリーを通して語りたかったんです。

<取材・文/此花わか>

映画ライター。NYのファッション工科大学(FIT)を卒業後、シャネルや資生堂アメリカのマーケティング部勤務を経てライターに。ジェンダーやファッションから映画を読み解くのが好き。手がけた取材にジャスティン・ビーバー、ライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、デイミアン・チャゼル監督、ギレルモ・デル・トロ監督、ガス・ヴァン・サント監督など多数Twitter:@sakuya_kono、Instagram:@wakakonohana

『帰れない二人』あらすじ
山西省の都市・大同(ダートン)。チャオ(チャオ・タオ)はヤクザ者の恋人ビン(リャオ・ファン)とともに幸せを夢見ていた。ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオがピストルを発砲し一命をとりとめる。ピストルの出所を警察に詰問されるが、ビンを庇ったチャオは刑務所に収監されてしまう。5年後、彼女が出所したときにはビンは大同におらず、三峡ダムのある長江のほとりの古都・奉節(フォンジェ)にいた。チャオはビンを訪ねに行くが、そこで目にしたのは……。

帰れない二人』はBunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国公開中
©2018 Xstream Pictures (Beijing) – MK Productions – ARTE France All rights reserved.

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