普通電車を追い抜き、加速していく

2代目800形の歴史を物語る光景

　運転再開し、通過するとタレントが5・4・3・2・1号車の順に車内をまわり、参加証の車内検札、談笑、記念撮影などを行なう。参加者の中には、ロングシートに記念乗車券やパンフレットなどを並べた方、スマホを床に置いて録音する方など、記念列車ならではの“想い”で満ち溢れている。

2代目800形の運転台

　2代目800形は大きなうねりをあげて激走。最高速度100km/hながら、加速度は比較的速い3.5km/h/s（参考までに、新幹線のN700系は2.6 km/h/s）なので、走行音も相まって速度以上の速さを感じる。晩年は普通電車の運用に専念していたせいか、この日は次から次へと先行の普通電車を抜き、快特停車駅の横浜、上大岡を通過するシーンは痛快に映る。

車掌のユーモアのあるメッセージ

　金沢文庫で乗務員交代のため、運転停車。再び激走し、堀ノ内を通過すると、本線から久里浜線に入り、右へ曲がる。そこで、南田マネによるアナウンスが入った。長くなるが一部引用する。

「ご案内いたします。楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていることと思います。当列車は、まもなく久里浜工場に到着いたします。みなさま、800形を満喫できましたでしょうか。

　また、物足りない方もいらっしゃると思いますが、わたくしもまだ800形を感じていたいと思います。しかし、終わりのときは待ってはくれません。後ろ髪をひかれる思いですが、みなさまお降りの準備を始めていただければと存じます。お忘れ物、ございませんように、ご注意ください。

　本日、傘などのお忘れ物、非常に多くなっております。なお、降車は1番前の車両（1号車）からとなります。みなさま列車前方にお進みいただきますよう、お願いいたします。

　まもなく、久里浜工場。終点の久里浜工場でございます。本日は、800形に御乗車くださいまして、誠にありがとうございました。お忘れ物ございませんよう、ご注意ください。本日は誠にありがとうございます」

　北久里浜を通過すると、ゆっくりした足取りで久里浜工場に進入。南田マネージャーがボケを織り交ぜた車内放送で締め、10時02分に到着。乗降用ドアは1号車の1か所のみ開き、順に下車する。ホームの向かい側には、デ51とデ1（いずれも保存車）が参加者を迎える。

終点久里浜工場に到着