「老後に2000万円必要」報告とは何だったのか。20代がすべき資産形成は?
20代のうちに小さい額からでも貯蓄を始めて
――20代が老後に安心して暮らしていく資産を貯めるにはどこに気をつけたらいいか?
横川:20代はただでさえ収入が少ないです。その中でしっかりと資産を貯めていくためには、きちんとお金の管理をして、将来のための資産を残していくこと。お金を持っている世代のいうことをうのみにしないことも大事です。
若い頃はお金を貯める必要がないという人もいますが、そういうアドバイスをする人はたいていがお金をすでに持っている人であり、同じ会社に勤めていれば、何もせずとも収入が順調にあがっていたような世代の人も多いです。
今はそうではなく、終身雇用という制度すら揺らぎつつある時代。毎月数万円など、大きな金額を貯める余裕がなくとも、少額からでも長い目で将来のための資産を残していく必要があります。早いうちに自分が現状でいくら年金をもらうことができるのか知ることが重要です。前述の「ねんきんネット」を見て、現状をひとまずしっかり認識し、毎月その金額で暮らしていくのが満足なのであればいいですが、そうでないのであればしっかりと準備をしていく必要があります。
「つみたてNISA」「確定拠出年金」が第一歩
――20代は、具体的にはまず何から手をつけたらいいか?
横川:タンス預金やただ銀行に預けているだけではお金は増えない今の時代。リスクはありますが、お金にお金を稼いでもらう投資をする必要があります。若いうちから始めることにより、後になってから始めるよりも複利の効果で長期的なメリットがある。
収入が少なく、1000円でも惜しいという人は、まずは少額の100円からでも投資の習慣、投資を始めておくということが大事です。一度始めれば、仕組みもある程度理解できるし、投資は怖いという人も少額であれば、まずはショックも少なくて済みます。
もちろん少額すぎると利益もその分少ないので、ゆくゆくは金額を増やしていく必要があるのですが。なかでも20年非課税の「つみたてNISA」はおすすめ。商品もとても少数まで絞られているわけではないが、限られているので選びやすい。
また、60歳まで引出ができないというのが難点ではあるが、毎月5000円から始められ、現役時代に税金のメリットもある「確定拠出年金」も、自分で用意できる老後の備えのひとつとして、金銭的に余裕があればぜひ始めてほしいです。しかし、手取りが少なく、毎月5000円も出すのが厳しいというのであれば無理して始める必要はなく、そういった場合はワンコインで始められる投資にまずは手を付けてみてください。