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女性社員に握手を求めるのはNG?職場のセクハラ、アウトの基準

学び

セクハラか、どうか…判断が微妙なケースも

セクハラ

 また、こうしたある意味わかり易い事例だけではなく、微妙なケースでも注意が必要です。次の事例はセクハラにあたるでしょうか。また何が問題なのでしょうか。

・「髪型変えた? 今日のファッションも似合ってるね!」と声をかけること。
・激励の意味で握手をしたり、肩をポンとたたくこと。

 両方とも「性的な言動」ではありませんね。最初の例はコミュニケーションのひとつとして相手を褒めているのですが……職場では仕事以外の私的な部分(特に容姿)に言及して欲しくない、と思っている人がいるということを理解する必要がある状況になった、ということです。

 ここは難しいところですね。また2番目の握手などの行為ですが、慣れないことをされて不快思う人もいること、そういった行為が、より過度な接触に疑問を持たない職場風土を作り出す恐れがあることを認識しましょう。

 また、セクハラ行為の受け手が、人間関係の悪化を懸念して、常に「NO」の意思表示をするとは限らないことも押さえておきましょう。

セクハラの加害者にならないために

 それでは職場内でセクハラをおこさないためにはどのようなことを心がければよいでしょうか。

 まず1つは自分自身がセクハラの加害者にならないこと。相手への強要はもっての他ですが、「これぐらいは大丈夫だろう」「相手も冗談だとわかっているだろう」というような認識は禁物です。

 2つ目は職場でセクハラ問題を拡大させないこと。セクハラを個人間の問題とせず、職場の問題と捉えましょう。セクハラについて問題喚起をする人をトラブルメーカー扱いしない、加害者に注意をしたり被害者には声をかけて相談に乗る、また上司や会社の相談窓口に相談することをためらわないことが重要です。

 ハラスメントの行為者には民事上の責任、場合によっては刑事責任に問われる可能性もあり、今後もますます注目を集める分野です。働く人一人ひとりの意識が大切だと言えるでしょう。

<TEXT/澤上貴子・さわかみ社会保険労務士事務所代表>

さわかみ社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士/健康経営エキスパートアドバイザー。会社の発展を支え、従業員のモチベーションを育む労務コンサルティングを目指す。20年以上の豊富な実務経験にもとづく、的確で時には攻めの姿勢のアドバイスと、きめ細やかな対応が評価を得ている。労働諸法令に関する指導・相談・手続・講師業、その他多岐に亘る分野において、良心と強い責任感をもって展開している

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