いじめ、引きこもりを経て映画監督に「映画を観て、心が浄化された」
映画に興味が湧いた「引きこもり時代」
――アベラさんは3歳までニューヨークにいて、それから大阪に移ったそうですね。幼少期はどんな子どもだったんですか?
アベラ:父親の影響もあって小さい頃から絵が描くのは好きでした。ただ、影響の大きさでいうと母親が小説を書いていたほうが大きい。エッセイのコンテストで本に載ったりはしてたんですけど、小説を書き上げられないところとか。子供心に「ダサッ」と思いながらも、今の自分も同じようなところがあるなと思います。僕が書き上げられたのは、唯一脚本だけなので。
――『家、ついて行ってイイですか?』の出演時に高校時代にイジメにあったと語っていました。その経験は今のアベラさんに結びついていますか?
アベラ:高校1年の頃にちょっと陰湿なイジメにあってから家に引きこもるようになったんですけど、深夜にミッドナイトシネマみたいな番組がやっていたりするじゃないですか? そこで犬童一心監督の『金髪の草原』とか市川準監督の『つぐみ』とかを観たりして。
当時はそこまで映画に興味はなかったけど、映画を観ることで、心が浄化されていく体験があったんです。振り返ってみると、普通に高校に行っていたら映画撮ろうなんて思わなかったかもしれないですね。
カナダの映画祭で入賞して「売れた!」と思った
――その後、アベラさんは山下敦弘さん、橋口亮輔さんなど多くの映画監督を輩出している大阪芸術大学に進学しています。大学在学中、あこがれの監督はいましたか?
アベラ:高校時代で一番影響受けたのは北野武監督ですけど、大学に入ってからは園子温監督ですね。僕の卒業制作の作品見たら分かってもらえると思うんですけど、キリスト教を思わせる小道具を使ってるところとか多大なる影響を受けています。
――その卒業制作の作品『死にたすぎるハダカ』は、カナダ・モントリオールで開催している「ファンタジア国際映画祭」で入賞しました。このときはどんな気持ちでした?
アベラ:「売れた!」と思いました(笑)。園子温監督がなにかのインタビューで「僕はファンタジア国際映画祭が好きで」って言っていたのを知っていたから「そこに行ったぞ!」と。
現地に行って生まれてはじめてサインもしたし、ハリウッド映画に出てる有名俳優とお酒飲みながら言葉交わしたりしたから完全に舞い上がっちゃって。その分、その後は屈折のリバウンドも大きかったですけどね(苦笑)。