働くだけで数十万円損?サービス残業での損失額を計算してみた
サービス残業での損失額をシミュレーションしてみた
このように、ブラック企業は総じて働きに対する対価としてのお給料が比例していません。たとえば、月給25万円の人が、1日8時間労働で働いていたとします。365日のうち土日祝日がその年は122日あったとすると、365日から122日を引いた、243日がその年の働く日数です。
243日の間は1日8時間働くとすると、1年で1944時間。それを12か月で割った1か月で162時間というのが、その人が月に決められた働く時間です。そして、25万円を162時間で割った約1500円(計算を簡単にするため簡易的な数字にしています)が、その人の1時間当たりのお給料となります。
残業代は、これを元に計算されます。1か月の出勤日が20日だったとして、毎日2時間残業したとしたら、ひと月の残業時間は40時間です。1日8時間、1週間で合計40時間を超えた場合、超えた部分については25%の割増となります。1500円の25%は1875円ですから、40時間分となると、その月は基本のお給料に加え、7万5000円の残業代がつくことになります。
実際には時間や状況により、もっと細かい条件や計算の仕方もありますし、月に働く時間もバラバラで同じということはありえないかもしれませんが、この例でそのまま計算していくと、もし残業代がもらえない状況なのであれば、1年間で90万円、10年間で900万円ももらえないということです。1日たった2時間の残業でも、残業代がもらえるのともらえないのとでは、将来的に大きな差が出てきますよね。
ブラック企業勤めは、お金も人生も大損させる
ひと昔前の人が自分たちの頃も夜遅くまでずっと働いていた、今の若い人は怠け者だと言ったりしますが、これは高度経済成長やバブル期のように、働けば働くほどお金がもらえた時代を経験している人だからこその話です。
今では働いても、働いてもお金が増えないことが、当たり前にはびこっている時代になっているのです。たとえどんなに好きな仕事をしていても、嫌なことやつらいこと、我慢をしなければいけないことはたくさんあります。
しかし、いくら残業や休日出勤をしても、残業代をもらえない。健康診断も実施されていなくて、健康管理もできない。そんなひどい環境のままでいると、お金だけでなく、人生そのものを大損してしまう可能性もあります。
社会の流れで言えばブラック企業体質を改善しようという動きがありますが、実際は誰かが告発しなければ労働環境はなかなか改善されていきません。勇気を出して労働基準監督署へ通報するか、まずは自分の身を落ち着かせるためにも、即転職しましょう。
<TEXT/横川楓 構成/bizSPA!編集部>