聞く耳を持たない上司に意見を通す「連鎖クエスチョン」とは
「連鎖クエスチョン」を仕事に応用しよう
では、どうすれば問題解決力がつくのでしょうか。ぼくがおすすめしたいのは「連鎖クエスチョン」という方法です。
問題を解決しようとするときに、いい打ち手が見つかっても「いや、それは、これこれこういう理由で、できない」となるのが普通ですよね。しかし、そこであきらめず「なんでできないのだろう? どうすればできるのだろう?」と連鎖的に質問を重ねていくのです。
ぼくが運営しているオンラインコミュニティでの、相談者の方とのやり取りをベースに解説しますね。
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相談者:
私はメーカーに勤務しています。先日、お客さんに製品が届いた時点で、製品が破損してしまっていた、というケースがありました。チーム全員で「すぐにでも対策を考えよう!」となってしまったのですが、これは正しくない気がしています。いきなり対策を考えるのではなく、
・製品はどのような流通経路をたどっていたのか?
・製品が壊れるときのありがちな条件は何なのか?
などなど、原因を考えていくべきではないか、と考えました。しかし、こういうことを上司に言うと、「忙しいのにまどろっこしいことを言うな!」と怒られたり、煙たがられることがあり、なかなかそこまで考えられません。
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これ、現場でよくあるやり取りですよね。「原因から考えていくべき」と思っていても、早く対応しなければならなかったり、上司が聞く耳をもってくれなかったり。せっかく問題を解決しようと思っても、その気持ちもなえてしまいます。
ただ、こういうときにこそ「連鎖クエスチョン」を使ってほしいのです。
「正論を言うと煙たがられる」こんな状況で意見を通すには?
ぼくは以下のように回答しました。
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Shin:
おっしゃるとおり、本来は原因を究明すべきところでも、「とにかく行動しないといけないから」と、後回しにされてしまうケースは少なくありません。そのようなときに、「いやいや、いきなり行動に移る前に、まずは原因を考えましょうよ!」と主張すると、周りから煙たがられるというのもよく理解できます。
そういう場合におすすめしているのは「連鎖的に問題を解決していくこと」です。
「“行動する前に原因を考えよう”というような正論を言うだけでは煙たがられてしまう。では、周りを納得させつつ自分の意見を通すにはどうすべきだろうか? そもそもここでは自分の意見を通す必要はあるのだろうか?」みたいに、深堀りと解決策立案を、多重構造でやっていくと、深みが出てくると思います!
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本やセミナーも大事なのですが、何よりも現場で「それって原因は何だろう? どうすれば解決できるのだろう?」と、連鎖的に問題を解決し続けること。それこそが問題解決力を向上させる何よりの近道なのです。
<TEXT/Shin>