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新入社員の悲劇「初任給30万円がゼロ」それでも違法行為と言えない理由

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 この4月より新入社員になった人も、すでに1か月が経過した。配属先が決まったり、同期で仲の良い友人ができたりするなど、さまざまな思いを胸にしているだろう。

 なかでも彼らにとって楽しみな存在が、初任給だろう。社会人になって初めてもらうお給料は大人になったという実感を与えてくれる特別なものだ。

新入社員

※画像はイメージです

 しかし、そんななか本来、4月に支払われるはずの初任給を受け取れなかったという人がいる。思ってもいない事態に巻き込まれて困惑する、都内のITベンチャー企業で、営業コンサルタントとして勤務する長山静香(仮名・22歳)はこう語る。

「初任給30万円がゼロ」新入社員の悲劇

「当然、給料は4月にもらえると思っていたのですが、振込日の25日になっても口座には1円も入金されていませんでした。大学を卒業したばかりで、当然、お金はないので、5月までの期間はしばらく親に仕送りをしてもらって生活するつもりです。」

 なぜ本来、支払われるはずの初任給が振り込まれなかったのか。実は、あらかじめ会社から長山さんにこんな説明があったという。

「内定をもらうときに、会社から給料について『10日締めの翌月払い』だと聞かされていたんです。その時点では他の新入社員も同じ契約だし、特に問題ないと思って、深く考えなかったのですが、これだと給料は5月25日にならないと振り込まれないんです。しかも、そのとき受け取れる金額は入社した4月4日から10日までで、基本給の3分の1程度です」

 本来、新卒としてはかなり高額な30万円弱という長山さんの基本給だが、5月の初任給は10万円弱になる。「これだけでは6月も乗り切れる気がしません…」という彼女は、早くも転職を考えているという。

4月に賃金の支払がなくても違法ではない

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 事前に説明はあったものの、就職活動時に聞かされていた基本給が6月になるまで受け取れない――。これは果たして違法行為にあたるのか。特定社会保険労務士の澤上貴子氏は、次のように語る。

「こういったケースは、会社が給与の締め日と支払日をどのように定めているかによります。締め日と支払日のタイミングによっては、4月に賃金の支払がなくても違法ではありません。そもそも労働基準法では、賃金の5原則を定めていて、それは①通貨で、②直接労働者に、③その全額を、④毎月1回以上、⑤一定期日に支払うことです。そのため、一定のルールに従って、毎月1回以上給与を支払っていればその運用に違法性はないことになります。

 しかしながら、労働者の生活は賃金の支払にかかっており、長すぎる計算期間は労働者の便宜を損なうことになり、労働者の不信を招きます。この例は法律違反とまでは言えませんが、改善の余地のある運用と言えるのではないでしょうか」

 つまり、今回のケースは違法行為には当たらないというのだ。しかしながら、この会社は基本給全額ではなく、入社日と締め日(4日と10日)の期間のみの金額を日割りで計算し、支給しているというが、これに違法性はないのか?

「基本的には労働した分の賃金を日割で支給していれば問題ないということです。今回のケースは、入社日が4月4日で、それまでの3月には働いていないわけですから当然、その期間の労働に対して賃金が支払われることになります」

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