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孤独死は誰にでも起こりうる。26歳「特殊清掃人」が目撃した共通点

学び

遺品整理ではその人の半生が透けて見えてくる

鈴木さん

――室内にあるモノには故人の意思も反映されているかと思いますが、それについて何か思うところはありますか?

鈴木:やはり人それぞれの半生が透けて見えてくるんですよね。例えば、他人からすれば何でもないように見えるモノでも、大切に箱の中へしまわれていたり、サイドボードにコレクションされていたりするので、仕事のため気持ちを抑えなければとは思いながらも、感情移入してしまうときもあります。

――今のお仕事に従事されて2年ほど経過しているそうですが、そういった気持ちの面はやっていくうちに慣れたのでしょうか?

鈴木:もともとがゼロから事業を始めるところから任されて、実際に費用をいただいて作業をするようになってから徐々にという感じでした。ご遺族の意向に沿うのはもちろんなのですが、私たちの仕事はご依頼主が物件の大家さんであるケースが多く、現状回復も役割のひとつなので、割り切っている部分もあります。

特殊清掃に必要な“薬品と住宅”の知識

――特殊清掃の仕事へ就く上で、必須の資格はあるのでしょうか?

鈴木:必ず取らなければいけない資格はありません。ただ、深く理解しておかなければいけない知識はあります。1つは、消臭や消毒をするために必要な薬品の知識ですね。もうひとつが、室内の清掃だけではなくリフォームまで手がけるケースもあるので、住宅に関する知識も必要となります。

――ゼロから特殊清掃の業界へ飛び込んだそうですが、どのように勉強されたのですか?

鈴木:もともと、僕をこの仕事に引き込んでくれた現在の代表者が建築関係の出身者だったので、リフォームなどは手ほどきを受けました。薬品については発注時にどういった効能があるのかを調べるなどして、少しずつ知識を蓄えていきましたね。

 また、新しく導入するものについては現場で使う前に研修を受けて、取り扱い方を学んでいます。事務所にあるキッチンの水回りを掃除するときに試したり、自分がケガをしたときに血液を室内で放置してみて、どのように使えばよいのかを自主的に研究したときもあります。

――鈴木さんの経験からして、特殊清掃の業界に向いている人と向いていない人はいますか?

鈴木:向いている人というのは難しいのですが、室内にあるモノであったり、故人の意思が渦巻いている空間での作業を求められるので、感情移入をしやすかったり自分の中で悪い“気”を吸い取るという自覚がある人は、あまり向いていないのかもしれません。

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