親の遺産が引き出せない。もしもの時、知っておきたい対策
人生において避けられないのが老いというもの。
親が認知症になって判断能力が低下してしまったり、亡くなってしまったとき、必要なお金を親の口座から引き出せないケースが続出している。
4月16日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)は、このようなケースに陥らないための対策を紹介している。20代のうちから考えておきたい大事な制度のおさらいをしておこう。
家族との話し合いが大事
番組では「家族信託」と「成年後見制度」という2つの対策と、それらの仕組みについて要点を紹介した。
もし、親が認知症になってしまったり、介護が必要な状態になってしまったら、親が所有している資産で、医療費や介護費用を賄おうと考えている人は少なくない。しかし、認知症で判断能力がなくなってしまうと、口座が凍結状態になり、親の資産も、本人の意志が確認できないため、売却することができなくなってしまう。
そうした事態を防ぐことができるのが「家族信託」という仕組み。家族信託とは、親の財産を子どもが管理するという契約で、認知症になったときに子どもの判断で、預金を引き出すことが可能になる。ただし、親が認知症になって、「判断能力が不十分である」とされた時点で、契約を結ぶことはできなくなってしまう。
だからこそ、親が健康で元気なうちに、腹を割って話し合う必要がある。とくに日本において、お金の話題は、家族間であってもタブーとされていることが少なくない。日頃からのコミュニケーションや信頼関係が鍵になってくるのだ。
親が認知症になってしまったら…?
もし、親が亡くなってしまっていたり、認知症になってしまっていたりしたとき、あるいは何からの理由で家族との信頼関係の構築が難しいときに役に立つ制度が「成年後見制度」。
これは、判断能力が十分でなくなった人の財産が不正に扱われないよう、第三者のなかから選ばれた後見人が、本人に代わって通帳やキャッシュカードなどを管理することになる制度。もし、家族が親の口座のお金を引き出したいときは、その出費が適正なものかどうかを後見人が判断し、本人の口座からお金を払い出すのだ。
ただ、この制度は、お金を引き出す際の手続きが煩雑になってしまったり、月額2万~6万の報酬を後見人に支払わなければならなかったりするなどのデメリットがある。
また、本人の判断能力が回復しなければ、利用をやめることができない制度なので、よく考えてから利用を開始する必要がある。