「1社目にいい会社に入らなくても大丈夫」ニューエリートの働き方<北野唯我×尾原和啓:対談>
転職は“手持ちのカード”を増やす手段
尾原:米国で今、就職し始めている世代は「Z世代」と呼ばれているのですが、物心ついたときから“繫がった社会”で、スマホを使って発信するのが当たり前、参加するのが当たり前の時代を生きてきている。
年齢・年代を問わずパソコンやスマホなどさまざまなコミュニケーションインフラに触れて発信することで自分の価値も高められるのですが、残念ながら今の日本では就職活動のときに初めて価値を測ってしまう人が多い。
北野:就職活動をする約3か月の間、ほとんどの人は25~30社受けて、内定をもらうのはせいぜい1~2社。要するに、20社以上から「あなたはいりません」という評価を下されるわけです。そうした圧倒的な敗北感のまま社会に出ても就労感は得られず、自らの価値を高めることは難しいですよね。
尾原:いまや転職自体はネガティブなことではなく、“手持ちのカード”を増やす手段なんです。
北野:「1社目にいい会社に入らなくても大丈夫」と、22歳のときに植えつけられた就職観を“リインストール”してあげたいですね。
若者ならベンチャー企業で失敗しても構わない!?
尾原:僕は若い人たちに「個人としての生き残り方」と「会社としての生き残り方」が分かれているから、こんなにおいしい時代はないと言っています。
北野:大企業で新規事業をするなんて“ノーリスク・ミドルリターン”ですよね(笑)。30~40代でも成功したら出世できるし、もし失敗しても社内でほかの部署にいくくらいですから。
尾原:大企業のなかで一番足りないのは“新規事業をやれる人材”。これからの5~10年でインターネットがすべての産業を上書きするといわれているなか、上の世代の人も大企業で新規事業に立候補して、新しいキャリアを経験するのがおいしい時代だと思いますね。若者ならベンチャー企業や起業で仮に失敗しても、多くの決断をしたほうが経験値が増え、大企業に入れるチャンスすら上がります。