「整形口コミアプリ」で起業した24歳女子大生「社員はTinderで探した」
出資話が頓挫し、3か月間無収入に
――起業資金はどうされたんですか?
川井:私の友人が、あるエンジェル投資家と仲が良く、その方を通してベンチャーキャピタルから出資を受けられることになったんです。ただ、メンバーを集めたり、起業の準備をするのに2か月ほどかかって、その間、先方の温度感が下がってしまい、出資の話がなくなってしまって。
――メンバーのなかには仕事を辞めた人もいるのに……。
川井:必死でベンチャーキャピタル回りをして、私が貯めていた整形資金からお給料を支払っていました。3か月後、「コードリパブリック」という起業家育成プログラムに採択していただき、出資を受けられることになりました。
――採択された決め手は何だったんでしょうか?
川井:すでにフルタイムのエンジニアやデザイナーが揃っていたこと、開発体制が整っていたことと、メンバーが優秀で、目的のために最善を尽くし決して諦めない人間であることを評価してもらったと思います。事業内容も私自身の体験に基づいて、「美容整形をする人の助けになりたい」という明確なヴィジョンも大きかったでしょうね。
――起業家育成プログラムとは、どういう内容なんですか?
川井:事業計画や資本政策のことなど、会社経営の基本を教えてもらえます。また、週1で株主であるファンドのトップの方から指導を受けられるんですが、「頭を使って、競合他社と同じやり方をしないように」と、毎週お腹が痛くなるくらい厳しく指導されます(笑)。でも、毎回ハッとさせられるアドバイスをいただけるので、何よりも勉強になりました。
ベンチャー起業家の繋がりの中で学ぶ経営術
――在学中に起業されたことで、苦労されたことはありますか?
川井:私はもともと起業したいと思っていた訳ではないし、就職したことがないので「インターンに行っておけばよかった」と起業してから思いました。メンバーはみんな同世代なので、私がリーダーシップを取るというよりも、対等な関係性で意見を言い合ってますね。議論で熱くなっちゃうこともあるんですけど、「目的の達成には何が必要か」を冷静に考えるようにしています。それでも、採用や人間関係など、悩むことはたくさんありますね。
――経営者としての悩みはどうやって解決しているんですか?
川井:私はすぐ人に聞くタイプです。クリニックへの営業が難しかったときも、知人に「クリニックの経営者の知り合いはいませんか?」と聞いて回ったら、本当に繋がっていったこともありました。経営や事業に関してわからないことがあれば、先輩経営者のエンジェル投資家の方々にアドバイスをいただいてます。人間関係についての悩みは、同じ規模や少し先をいってる同世代の起業家にアドバイスを求めることもあります。
先日、パパ活アプリ「Paters(ペイターズ)」の日高亜由美社長に相談したときは、多忙にもかかわらず、長文のLINEでアドバイスをいただいて感激しました。経営者はみなさん苦労されているので、相談すると、親身になってくれる方が多いと思います。質問して学んだことを、将来、私も若い起業家に返していければいいなと思っています。