すぐ辞めて安易に「第二新卒狙い」が危ない理由。人事のプロが教える
転職時の年収交渉は30歳超えてから
たとえば求人広告の掲載ひとつとっても、求人サイトへの出稿は最低でも十数万円からといわれている。
「しかし、ほとんどの人材紹介に登録すると、理論年収の30%、つまり100万円以上を未経験者の採用に支払わなければいけない。そこまでのコストをかけてまで人を集めているということは常識的に考えて、そうまでしないと人材が集まらない企業や業界ということですよね」
ただし例外もあるようで、IT業界やベンチャーなどで急成長したため、突然として人手が足りなくなっている場合、必ずしもブラックな環境ばかりではないという。
それでは第二新卒で「給料を増やしたい」と思っている場合はどうしたらいいのか?
「年収交渉は、30歳超え始めたくらいでようやくできると思ったほうがよいです。よっぽど若手で成果を上げていたり、ドンピシャの求人があれば実現できるかもしれませんが……」
何かひとつくらい結果を残してから中途採用に
「あとは超優秀なエンジニアとか、経営開発ができる人の給料は高騰して、派遣スタッフやオペレーター人材の時給もアップしています。働いていると2年半くらいで仕事に余裕ができてきて、新しいことに挑戦したくなりがちですが、安易な転職は勧められません」
また、面接官によっては「新規事業をやりたい」といった志望動機は、むしろマイナスだとか。
「『チャレンジできそう』といった志望動機だと、その職場で新規事業の企画が通らなかっただけで、調整能力がないという評価に繋がりかねないです。その会社がよっぽどのパワハラ、ブラック企業でなければ、何かひとつくらい結果を残して中途採用募集に望んだほうがよいでしょう」
佐原さんは「まずは企業の情報収集をしっかりして、そのうえで口コミサイトも見ておくべき」とアドバイスする。
人材業界が転職させることはマッチポンプ
「最近では『Vorkers』『転職会議』など退職者が企業をレーティングしているサイトも多いです。もちろん、退職者が書き込んでいるため、マイナスなバイアスがかかっている前提で読む必要がありますが、それでも会社選びの参考にはなります。
ただ、サイトによっては採用広告を出して企業側からお金をもらっている都合、マイナスな口コミが載らないよう管理しているところもあります。サイトの運営企業がどういうマネタイズをしているかをユーザーがしっかり判断しないといけません」
また昨今では、第二新卒や20代向けの転職に特化した「学情」「キャリトレ」「Re就活」「マイナビジョブ20’s」といったサイトや、若者の転職を支援する転職エージェントもいる。
「もちろん、こうしたサイトは20代に特化しているので企業選びの参考にはなる。しかし人材業界は雇用を流動化させることが利益につながるので、転職させることはある意味でマッチポンプです。転職エージェントも本当にその人の適性や価値観、職務経歴を理解して紹介してくれる方は、さほど多くないと思ったほうがよい」