アカデミー賞を2度受賞した名優が、仕事選びで大事にしていること
その役に自分が正しいかどうかが重要
――それらを考慮したうえで、オファーを受けるか受けないかの判断をされているんですね。
クリストフ:というのも、たとえば中身がありそうな振りはしているけれど、方程式のようなものに沿っているだけのスーパーヒーローものとか、一見真面目そうな作品でもアカデミー賞に好まれるような要素を意識して入れているようなものは、結果的に退屈な作品になってしまうからね。
あとは自分にとって“正しい役”なのかというのも考えているよ。つまり、自分がその役でどんなことに貢献できるのかを考えるんだけど、何もできなければ、それはミスキャスト。
上手い役者かどうかということではなく、その役に正しいかどうかであって、たとえ下手な役者でも、その役のために最適な役者が付いていることが一番なんだ。だから、正しい役にキャスティングされているのかといったものすべて考慮して、うまくまとまれば、答えは当然イエスだよね。
僕自身は、あまりいい“先生”ではない
――役者としてすでに40年以上のキャリアを誇るクリストフさんですが、自身の経験を踏まえて、日本の若い世代に伝えたいことがあればメッセージをお願いします。
クリストフ:僕自身は、あまりいい“先生”ではないと思うんだ。なぜなら、僕は忍耐力がないからね(笑)。だから、あまり教えられることはないかもしれないけれど、言えるとしたら、最近の傾向としてみんなキャリアよりも“外側”のことに目が向きすぎなんじゃないかなと思っているんだ。
つまり、職業によって内容はそれぞれ異なると思うんだけれど、「仕事で何をしたい」というよりも「有名になりたい」と思う人が多いということ。特に、若者にとって有名になるというのは簡単なことで、YouTubeでバカげたコンテンツを作って、たくさんクリックしてもらえれば、それで有名になることはできるからね。
僕はそういうことに興味がないから、それに価値があるのかどうかはわからないけれど……。