孤独な人の「早死にリスク」は運動不足の約3倍
イギリス政府が発表した孤独の健康被害
孤独が死を招くメカニズムは、いまや最もホットな研究テーマであり、数々の説が登場している。
例えば、シカゴ大学のジョン・カシオッポ教授らの研究によると、「孤独を感じた人は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増える傾向にある」という。コルチゾールの増加は高血圧に繋がり、心臓発作や脳卒中のリスク要因となることがわかっているのだ。
その他、睡眠不足やアルツハイマー病、うつ病、がんなど、孤独によって誘発されると考えられている病気は枚挙にいとまがない。
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【孤独の健康被害】
■認知症リスクが31%アップ
認知症を発症していない約1万人の男女を対象に、約10年間の健康状態やライフスタイルの状況を調査した結果を分析。『Journal of Alzheimer’s Disease』(2017年5月)より
■心臓病リスクが29%アップ
23件の過去研究(計18万人が対象)をメタ分析したところ、心疾患のリスクは29%、心臓発作のリスクは32%も高まるという結果に。英・ヨーク大学の研究チームによる発表
■早期死亡リスクが50%
さまざまな心臓病を抱えるデンマーク人の患者1万3463人について、ライフスタイルや交友関係と退院後の経過を分析。2018年6月の欧州心臓病学会での発表より
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上記はそのごく一部だが、イギリス政府が本気を出した理由がおわかりいただけたのではないだろうか。
周りに人が大勢いても“ぼっち”かもしれない
ここで、1つの疑問が湧いてくる。「ぼっち」とは、具体的にどのような状態を指すのだろうか? 孤独問題に詳しいコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏は次のように語る。
「孤独とは、必ずしも“客観的に見て一人であること”ではありません。頼りになる人がいない、心の通じ合う人がいない、誰からも必要とされていない……といった主観的な感覚を指します」
ある海外のメディアは、孤独を判定するための興味深い基準を挙げている。
「それは『朝4時にトラブルに巻き込まれたときに、電話で相談できる相手がいるか?』というもの。もちろん架空の話ですが、要は困ったときに手助けを求める相手や、個人的なことでも気兼ねなく話せる相手がいるかどうかということです」(岡本氏)