デキる部下は上司からの仕事を「二つ返事」で引き受けない
あるとき、先輩社員SがA君に「クライアントに提出するための競合リサーチをしてほしい」と依頼しました。
A君は、いつものように二つ返事で「わかりました!」と答えて業務に取りかかりました。本人としてもやる気はあったのだと思いますが、どういうシーンで利用するのか、調査項目や比較手法、リサーチする競合数などを確認せずに進めていたようです。
調査して疑問が出るたびに先輩社員Sに聞きながら仕事を進めていたため、Sからは「依頼した仕事が全然進まないじゃないか! こんなことなら逆に自分でやったほうが早かった!」いう印象になってしまい、彼の評価は「かわいい後輩」から「時間泥棒」に急降下しました。
デキる部下は「仕事の背景」を確認していた
またあるとき、先輩社員Sは、今度はB君に、「クライアントへ提案するための補足資料の作成をしてほしい」と依頼しました。
B君はその場で、以下のことを確認したそうです。
・いつ頃に利用する資料か
・手渡し資料か、プロジェクターに反映するための資料か
・何枚程度か
・どのレベルまで仕上げれば良いのか
・資料の元データはどこから引っ張ってくれば妥当か
B君は、業務に取り掛かる最初の段階で、自分に任された仕事の背景を理解し、いつまでに、どこまでやればいいのかをしっかりとすり合わせをした結果、期限までに先輩社員Sが求めていたレベルでアウトプットができました。
その結果、B君の評価は「ノリが悪い後輩」から「デキる後輩」になり、徐々に責任あるプロジェクトにも参加していくことになりました。
私はこの話をSから報告を受けたときに「最初に依頼されたときにいかに相手とすり合わせを行う重要性」を改めて実感しました。この話で重要なのは、「いかに上司の考えを最初の段階で聞き出せるか」です。
上司にしつこく質問するほうがデキる部下
最初の依頼された段階で「上司にいろいろ質問をするのは悪い」、「できないやつだと思われてしまう」と考えがちですが、それは違います。その場で細かい質問をされたほうが、上司も「しっかりとこの業務を遂行させようとしているな」という印象になるのです。
また、最初のすり合わせが甘くずれている状態で仕事に取り掛かってしまっては、せっかく取り掛かった業務や工数がムダになってしまいます。
逆に言えば、その確認を怠らなければ、自分の仕事ボリュームも10分の1にすることもできるのです。
・このタスクが必要な背景はなにか(Why)
・どこで使うのか(Where)
・何を(What)
・いつまでに(When)
・誰に(Who)
・どのレベルまで(How)
確認力は仕事の基本中の基本ですので、まずはこの5W1Hをしっかりと頭に叩き込んでおきましょう。
<TEXT/秋沢崇夫>