モンスターペアレントに泣く塾の講師。カンニングした生徒の親が強烈クレーム
前の席の優秀な生徒と答案が全く同じ
「我が子に対する愛情からかばっているというより『子供がずるいことをしたら親が諭す』というそもそもの意識が欠如しているようでした。要は子供と自分が一体化しているんですよ。だから自分が叱られたり、罰せられているように感じてしまったんでしょうね」
このタイプのモンスターペアレントには、根気よくこちら側の意向を伝えるのがよいそうです。
「『教室にカメラを設置していないから映像はありません』と述べると、『証拠がないなら、カンニングしたとはいえない』と息巻いてきます。そこで『前の席の優秀な生徒と答案が全く同じだったんですよ』と、カンニングの理由を伝えると、今度は開き直ってしまいました」
元ラグビー部の親は「優秀な生徒と答案が全く同じという結果があるのは、素晴らしいことだ」とあくまでも自分の子供がカンニングしたという事実を認めないのです。
カンニングした生徒を再テストもできず…
しかも「ビジネスの世界も結果がすべて! 素晴らしい結果を出した我が子に拍手をすべきでしょう」と、子供を称賛するべきと強制したそうです。
そこで上野さんは「それでは、もう一度テストを行います」と、カンニングした生徒に放課後に再テストをすることを提案。すると「うちの子供を疑うのか! クビにしてやる!」と騒ぎ立てて、塾長を呼び出したそうです。
「塾長と一緒にその場で謝罪しました。どうしてこんなことが起っているのか、さっぱりわかりません」と、上野さんは心身ともにすり減ってヘトヘト。
塾を変えても、同じようなモンスターペアレントがいると聞いて、別の教育現場に転職を考え始めているそうです。
― 特集・モンスタークレーマーとの死闘 Vol.12 ―
<取材・文/夏目かをる イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
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