仏教界の革命児が語る、遺族に寄り添う「オーダーメイド葬儀」とは
老師に怒鳴られてわかったこと
その時、同行していた老師が、高橋さんを「読経を続けろ」と怒鳴りつけました。「この一件で、全てが変えられてしまった。今までの生き方はだめだったんだな」ということを高橋さんは痛感したと番組の中で語りました。
想像を絶するこの世界の苦しみに直面するのが僧侶であり、その苦しみを前にして「何をやるか考える」ことが、僧侶の役割だと、高橋さんは番組の中で語りました。
高橋さんは、僧侶としての勤めのほかにも、高齢化が進む地域のために、介護施設を立ち上げ、弁当の宅配などのサービスを始めました。また、地元でチャレンジする人を支援するためのNPOバンクの立ち上げに関わるなど、地域貢献にも積極的です。
家族葬を選択する人が増加傾向に
終活関連サービスを提供する株式会社鎌倉新書の「第3回お葬式に関する全国調査」(2017)によると、親しい近親者のみが参列する家族葬を選択する人が38%となっており、これは前年の調査から6.6%アップしました。逆に一般葬を選択した人は52.8%となり、6.1%ダウンしました。
ただ、告別式だけを執り行う一日葬や、火葬のみの直葬・火葬式などは、増加しておらず、弔いの文化そのものが衰退していったというわけではないようです。
また、内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると、2015年の死亡者数は1290万人でしたが、年々増加傾向にあり、2040年に死亡者数はピークを迎え、1679万人になるとの推計がなされています。高橋さんのような、残された家族の心の傷を癒やす僧侶がさらに必要とされる世の中になっていくでしょう。
「住職とは十の職をこなす人」言葉の真意
「こんな住職がいてくれたら心強いだろうなぁ」
「今の葬儀は、喪主が忙しすぎて、死と向き合える余裕なんてありませんからね。このような葬儀が理想です」
「残された者の苦しみを緩和し、寄り添うことが、お寺や僧侶の本来の役割だったんじゃないかなあ」
高橋さんは番組の中で「住職とは十の職をこなす人のことだった」と語ります。かつては、住職は学校の先生や土木の関係者を兼ねており、「総合的なコーディネーターが地域のお坊さんの役割だ」と続けます。
今年の4月からは住職を身内ではない若手に譲り、住まいを京都に移して、現在はフリーランスの僧侶として精力的に活動されています。超高齢化社会に突入するこれからの日本において、高橋さんのような存在が必要とされています。
<TEXT/湯浅肇>