遅刻、借金、空伝票…28歳「見えっ張り営業マン」が招いた悲劇
20代のうちに会社をクビになる経験をした人はあまり多くないでしょう。しかし、某大手人材派遣会社から転職した男が、ほぼクビ同然の状態で、退職に追い込まれました。
大手人材総合サービス会社で18年間勤務の後、6年前に独立し、延べ2500人の転職をサポートしてきたライフプロデューサーの矢加部英達さんは、その原因を「見栄の果て」と指摘。
「成果主義が染みついてしまった20代男性の可哀相な末路です。自分を大きく見せようとすると、人はどんなことでもやってしまう。反面教師にしてもらいたいですね」
自称、優秀な営業マンの意外な特技
男の見栄と、その結末はどんなものだったのでしょう。
「某大手人材派遣会社から、同じ業界の会社に転職した有馬元気さん(仮名・28歳)は、履歴書に転職前の会社での実績をずらりと挙げていました。クライアントには誰でも知っている有名な企業が目立ち、とても優秀な営業マンであることをアピールしたんです」
見た目は、「ペヤング」のCMにも起用されたふっくらとした落語家、9代目桂文楽にそっくり。温和な雰囲気が漂い、人が良さそうという印象を受けます。
「彼の得意技は『泣き落とし』。営業にも、そして一連の“ごまかし”が発覚したときも、これで難を逃れていました」
有馬さんが転職した会社の営業は、有名企業から広告をもらうと高いインセンティブが派生するという仕組み。前職では「有名企業から順に契約をゲットしてきた」と豪語していた有馬さんは、すぐに契約を取ってきます。
契約の半分以上が嘘だった! 営業の空売り
「ところが取ってきた契約の半分以上が嘘であることがわかってしまいます。彼の言い訳はこうでした。『期限まで正式に契約に結び付かなくても、めげずに見込み客を取ってきた』と、先走った末の大きなポカですね。でも彼は口がうまいため、営業空売りをしたからといって、責められなかったので『今度からちゃんと成約に結びつけます』と開き直っていました」
これで許されたと思ったのか彼の営業空売りはさらにエスカレート。さらに、普段の勤務態度にも徐々に緩みがちになります。
「遅刻も多くて、悪びれることなく『今起きました』と会社に電話したことも。さらに、出社していないことを確認した上司が携帯で呼び出すと、『別れた妻が突然やってきて、口論になっているうちに、妻が投げつけた灰皿が頭にあたって、気絶してしまいました』と。喫煙者ではない彼の部屋になぜ灰皿があったのか。すぐにバレてしまうヘタな言い訳でした」