若者が恋愛できないのは「忙しすぎるからだ」
言葉について考えながら世界中を放浪。帰国後は、28歳で書籍専門の校正・校閲会社「鴎来堂(おうらいどう)」を立ち上げた、柳下恭平さん。
近年では、神楽坂の書店「かもめブックス」の店主、書店の企画・運営など校閲会社の枠にとらわれない活動もしています。プライベートでは「おせっかいおばさん的な活動もしている」という柳下さんから見た、若者の姿や恋愛アドバイスついてお話を聞きました。
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忙しいと「恋に落ちる」優先順位が下がる
――(前回の続き)柳下さんが代表の会社「鴎来堂」にはアルバイトの方を含め、多くの20代が働いていますが、彼らの働き方を見てどう感じますか?
柳下恭平(以下、柳下):若い人の働きぶりかぁ。……これ、答えるのが難しいですね。うーん、うちの会社だけの話じゃないんですが、最近僕の周りの20代、とくに20代後半の人たちに、恋人がいない人が増えている気がしますね。
――なぜそういう実感が湧いたのでしょうか?
柳下:恋ってとてもリソースを使う行為ですよね。そこがいいと思うのですが。あたりまえですが、仕事と生活に追われて、クタクタになっているときに、恋に落ちるなんていう選択肢の優先順位って低くなるんですよね。
高齢化社会の逆ピラミッドの現代では、若い労働力を使い捨てる傾向にあります。転職市場も含めたキャリアを作らせない社会では、そのほうが定年近くの世代にとって有利だからですが、そのために、労働力の安い若者にいろいろなしわ寄せがいくのは当然で、大学生の頃から付き合っている恋人でなければ、恋人がいない状態になったあと、新たに恋人を作るということがとてもしにくくなっているからです。
現状の人間関係の中で恋人を作るということはリスクもありますし。
――忙しすぎるということが「恋人離れ」に繋がっていると。
柳下:僕は仕事と人生を比べると、人生のほうが大切だと思うのですが、家に帰っても恋人もいないし、酒を飲むつもりもないし、やりたいこともないから仕事したいみたいな若者が確かにいるんですよね。……やだなぁ、この話おっさん臭いなぁ(笑)。
「忙しすぎる」ということの現象として、「恋人がいない」という側面があるように思えたんです。もちろん、消費構造や行動の時代的な違いもありますが、社会の仕組みが、若者を忙しくさせている。それが、私生活と仕事を受動的にしてしまうことがあるのかなと思います。
――柳下さんはプライベートでいろんな人と人を繋ぐ活動をしていて、それがきっかけで何人か結婚しているそうですね。どんなアドバイスをしているのですか?
柳下:「人と人を繋ぐ」というのは、僕の友人同士で、仕事やシナジーを生み出す関係性が生まれると思ったらすぐに行うことです。単純に、「この2人はいい飲み仲間になりそうだな」っていうレベルから、「この2人が繋がれば新規事業ができるんじゃないだろうか」っていうものまであります。
そのなかで、恋人や結婚という副次的な産物が生まれるわけですね。僕はほとんど男性の相談に乗ることが多いのですが、女性が来たときは何か具体的なアクションを起こすとよい、と伝えていますね。