机や壁を叩いてヤバイ雰囲気に…27歳女性が見た、憧れだったホームヘルパーの現状
男尊女卑や女性軽視の考え方は、女性に精神的なストレスを与え、ときには居場所さえ奪ってしまうこともあるようです。憧れていたホームヘルパー(訪問介護職員)の仕事に嫌悪感さえ抱くようになったと言う漆原美乃梨さん(仮名・27歳)に話を聞きました。
漆原さんは、子どもの頃から「助けが必要な人の力になりたい」と考えていたと言います。いろいろと迷った挙句、ホームヘルパーとして働くことを決意。すぐに条件のよい職場も見つかり、ヤル気に満ち溢れていたとか。
新しい利用者の登場で状況は一変
「病院や施設で働くという選択もありましたが、気を使い過ぎて疲れてしまうという私の性格上、ホームヘルパーを選びました。利用者宅にうかがうホームヘルパーは、出勤時と退勤時、昼休憩ぐらいしか事業所に寄りません」
助けが必要な人の力になれるだけでなく、職場の人と過ごす時間が少なくて済むホームヘルパーの仕事は、まさに天職。最初の頃は快適でした。けれど新しい利用者を担当することになり、状況は一変します。
「新しい利用者は90歳近いおじいさんでした。これまでの利用者にも90歳前後の人はいたので、とくに心配などはなかったです。でも、自宅へ行ってみてビックリ。利用者だけでなく、利用者の息子も驚くほど男尊女卑がスゴかったのです」
「女は口を挟むな!」と怒鳴られる
利用者宅には、90歳の利用者とその息子、息子の妻Hさんが暮らしていました。漆原さんが介護のことで何か提案しようとしても、「女は口を挟むな!」と利用者や息子に怒鳴られ、心配したHさんが口を挟むとボロ雑巾のように貶されてしまいます。
「Hさんへの暴言は強烈で、『女が、何をエラそうに言っている?』からはじまり、『黙っておけ。しゃべるな。出しゃばりが!』などと怒鳴りつけるのが日常。Hさんは聞き流している様子でしたが、見るに堪えませんでした」
キッチンでHさんと2人きりになったときに話を聞いてみると、利用者と息子の態度に気分を害したホームヘルパーたちが事業所に報告し、介護を断られ続けていることが発覚。泣きながら、「訪問介護を辞めないでほしい」と頼まれてしまいます。