女性の「子供ほしくない」は男性の2倍!識者が見た、若い世代の結婚観
2022年6月14日に公表された内閣府『令和4年版男女共同参画白書』では、デート未経験の20代男性は39.8%、20代女性は25.1%という結果が大きな注目を集めた。
現代の若者は結婚や出産へのモチベーションが低下しているということがわかる調査結果だったが、何か大きな理由があるのだろうか。『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど:ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房)の著者で、武蔵大学社会学部 社会学科で講師を務める高橋幸氏に話を聞いた。前後編の記事の前編。
結婚や出産への男女差が浮き彫りに
若者の恋愛・結婚に対する意識の変化がうかがえる冒頭の内閣府調査ではあったが、株式会社マイナビが2月に発表した、2023年卒の大学生・大学院生を対象に実施したアンケート結果も興味深い。
3,756名から回答を得た同調査の結果、「結婚せず自分の収入のみで生活するのが望ましい」という男性は10.6%、女性は11.6%と、男女ともに10%を超えた。また、「今のところあまり子供はほしくない」と回答した女性(14.5%)は男性(7.5%)のおよそ倍近くとなっており、結婚や出産に対する男女の意識の差も浮き彫りになった。
そもそも、「結婚したくない」「子供を持ちたくない」と考える人は若者に限った価値観なのか。
結婚したくてもできない可能性も?
「50歳までに1度も結婚していない人の割合である“生涯未婚率”がこの20年間増加し続けています。ここから分かるように『結婚しない』『子供を持たない』人の増加は、若い世代にかぎらず40~50代でも見られる現象です。未婚率の上昇という事態が、本当に『結婚したくない』『子供を持ちたくない』という本人たちの積極的な意志や希望に基づいた結果であるかについては、判断を留保せざるをえません。
というのも、2020年の国勢調査によると、生涯未婚率の高い男性は非正規雇用者に多く、非正規雇用男性の60.4%が50歳まで1度も結婚していないのに対し、正規雇用男性の生涯未婚率は19.6%と低くなっています。
このような経済状況による差を鑑みれば、生涯未婚率の高まりは『結婚したくない』という人が増えたことによるだけでなく、『結婚したくてもできなかった』という人もいると考えたほうがいいかもしれません」(高橋氏、以下同じ)