V字回復「不二家」と“ほか2社”。飽和状態のスイーツ業界に希望はあるのか
猛暑が続き、夏バテで食欲が無くなりそうですが、そんな日は甘いものやアイスでエネルギーを得たいところです。さて、スイーツ業界の動向を見ると、猛暑よりコロナによって業績が大きく左右されているようです。
そして、長期で見てもすでにスイーツ市場は飽和しつつあり、アフターコロナでも状況は甘くはないとみられます。自社で生産し、直売する上場企業は多くはありませんが、今回はスイーツ直売3社の動向に注目し、将来性について考えていきます。
不二家:製菓事業が全体売上高の7割
店舗でのケーキ販売やレストランのイメージが強い不二家ですが、スーパーや薬局で販売されている包装菓子類も生産しています。事業セグメントはスイーツ直売店やレストランを展開する「(1)洋菓子事業」、スーパー向けの菓子・飲料を生産する「(2)製菓事業」に分類されており、製菓事業が全体売上高の7割を占めます。
ご存じかと思いますが、「カントリーマアム」「ミルキーチョコレート」「レモンスカッシュ」などの有名商品も、不二家が提供する商品です。近年(2018/12期~2021/12期)の業績は次の通りとなっています。
【不二家(2018/12期~2021/12期)】
売上高:1052億円→1033億円→991億円→1048億円
営業利益:24.2億円→18.4億円→25.0億円→41.5億円
最終利益:13.7億円→12.1億円→10.5億円→31.7億円
売上高(洋菓子事業):327億円→301億円→279億円→296億円
売上高(製菓事業):701億円→704億円→680億円→722億円
店舗数(不二家洋菓子):862店→829店→951店→976店
コロナで落ち込むも、しっかり回復
2019/12期は洋菓子店について日本橋三越本店やJR京都伊勢丹店をオープンするなど高付加価値店舗を増やした一方、不採算店舗を大幅に縮小したため(1)事業は減収となりました。(2)事業は前年と同様の水準です。
翌2020/12期は両事業ともコロナの影響を受けました。(1)事業は内食需要を狙ったキャンペーンを実施したものの、客足の減少で洋菓子販売の売上は減少しました。レストランにおいては(1)事業に対する比率は低いものの、休業等で3割近く減収しています。(2)事業もお土産需要の減少に伴って落ち込みました。
一方で利益面では販管費の抑制や生産性向上により、営業利益を増やすことができました。翌2021/12期はテレビCMや若者向けの販促活動を積極的に実施し、これが成功して(1)事業は6%の増収となりました。(2)事業でもカントリーマアムやルック、ミルキーなど主力商品の新商品を発売、積極的な広告施策もあり、コロナ以前を上回る水準まで売上高が回復しています。
改めて推移を見ると洋菓子、製菓事業ともにコロナ禍の2020/12期で落ち込み、その後は宣伝活動・新商品の投入によって2021/12期に回復した形です。