「日本一バズる公務員」が地元のヒット商品発掘を“よそ者”に任せるワケ
年間200万円しかなかった高知県須崎市のふるさと納税の寄附額をわずが4年で14億円まで増やした公務員がいる。地域創生請負人とも呼べる男こそ、守時健氏だ。
独自のマーケティング戦略で数々の成功を収め、初書籍『日本一バズる公務員』を上梓した彼が、地方創生と向き合ったとき、まず真っ先に仕かけたのが「ゆるキャラ」だった。そのゆるキャラを使った戦略について、今回語ってもらった。
【前々回の記事】⇒≪寄附金を14億円まで増やした「日本一バズる公務員」が教える、SNS運用のコツ≫を読む。
【前回の記事】⇒≪携帯電話が鳴りっぱなし…当事者が語る「ゆるキャラ1位」獲得のすごい効果≫を読む。
地元のヒット商品は“よそ者”だから見つけられる
よく「地域おこしはよそ者がやったほうがいい」なんて言われるのですが、まさにその通りだと思います。地域にはたくさんの魅力的な特産品がありますが、地域の目では当たり前すぎてその魅力に気づけないことのほうが多い。それを、今までとは違うアプローチで地域外に広めていくことが、よそ者である私の仕事だと考えています。
出品依頼をした生産品の中に「めちゃくちゃおいしい」みかんがありました。出品依頼しといてなんですが、おいしいと言われても、交渉期間中は旬ではないため試食できませんし、そもそも、みかんについての知識も持ち合わせていません。
「どう紹介したらいいのかわからないし、取柄といったら田舎臭い場所で育ったということくらい」
売れ始めるといきなり敬語になる人も
悩んだ結果、生産地の風景写真をメインに、すごい田舎で育てたことをアピールする「のどかで風光明媚な田舎のおいしい空気を吸って育ったおいしいみかん」というストーリーを加えて掲載したところ、どういうわけか、めちゃくちゃ売れて寄附額が2億円を超えました。
実は私、売れた土佐包丁も、実際に使ったことはありません。商品の背景にあるストーリーを売っているだけなのです。あえて距離を置きつつ、商品の生い立ちを調べることで「売れるポイント」が見え、ブランディングできるというのは大いにあると思います。
ふるさと納税の寄附額が発表されて事業者さんの売り上げ増が報じられると、これまで「市役所なんて」と、私たちを冷たくあしらってきた事業者さんをはじめ、多くの関係者の態度がガラッと変わりました。
そもそも自治体職員相手に腰低く接する人は少なく、割と辛辣な態度をとられがちなのに(そうじゃない人もたくさんいますよ!)、売れ始めるといきなり敬語になるし、すごくちやほやされるんですが……違う、そうじゃない。ふるさと納税でそういうことを得るために頑張ってきたわけじゃないんです。