なぜ日本より米国のワクチン接種率は低い?デモも発生、「自然免疫で十分」の声も
新型コロナ感染予防と重症化を防ぐという目的で実施されている「ワクチン接種」。世界各国で2020年12月から始まり、特にイスラエル、イギリス、米国はワクチン接種先進国として、国民へのワクチン接種を積極的に推奨してきている。
日本は他国にやや後れをとり、1回目のワクチン接種は2021年2月半ばから開始。まず、医療従事者から始め、次に高齢者、基礎疾患を持つ人、そのあと一般人へ、というふうに優先順位を決めて順々に接種を進めている。
日本は慎重に物事を進める国だ。しかし、いざ始まったら行動は速い。順調に、2回目の接種へと進み、現在(2022年2月11日)までに2回目の接種を済ませた人は国民の79%となっている。一方、米国の2回目の接種を済ませた人は64%。現在、日本が米国より優勢となっている。
ワクチン接種先進国の米国に何が?
複数のワクチンを早くから開発し、ワクチン接種も日本より早く開始した米国にもかかわらず、なぜ日本より接種率が低くなってしまったのか? ジョー・バイデン大統領は当初から「経済回復にはワクチン接種を」と演説し、現在もオミクロン株への対策として「ブースター接種を」と推奨している。
バイデン政権では、さらに各大企業へ職場でのワクチン接種義務化を要請した。内容は、従業員100人以上の企業に対し、従業員のワクチン接種、または、マスク着用と週1回のウイルス検査(自己負担)を義務付けるというもの。約8400万人の従業員に適用する予定だった。
ワクチン接種率が増えないのはなぜ?
しかし、米国のワクチン接種率は増えない。なぜなのか? 現在、米国では、ワクチン接種義務化をめぐり、激しい論争やデモが繰り広げられており、「リベラル派(民主党派)」vs.「保守派(共和党派)」という社会の分断がコロナ禍でさらに深刻化している。
2022年1月13日、「米国連邦最高裁判所(Supreme Court of the United States)」は「大企業の従業員にワクチン接種、または、マスク着用と週1回のウイルス検査を義務付ける」というバイデン政権の措置について、「政府権限を逸脱している」とし、施行を差し止めた。
この判決は、共和党のトランプ前政権によって保守派判事が米国連邦最高裁判所の過半数を占めた結果を反映するものだ。バイデン大統領は「常識的な救命行動を従業員に義務付けるのを阻止する」として、同判決への失望を表明している。