実家を飛び出した元調理師。コロナで収入激減も…父親の「戻って来い」に救われた
親が会社やお店を経営している場合、跡を継ぐのが嫌で違う仕事に就く人も少なくありません。とはいえ、実家が商売していればいざという時の保険になるのも事実。
現在、父親が代表を務める土木会社に勤務する成沢孝満さん(仮名・30歳)の前職は調理師。10代のころは家業とは関係ない仕事がしたかったとか。そこで料理専門学校に進み、卒業してからの約9年間はホテルやゴルフ場のレストランなどで働いていたそうです。
父親に反発し、一度は家業を継がずに別の道へ
「もともと親父は自分のことを跡継ぎにするつもりで、子供のころからそう言われ続けていました。ただ、そんな感じで将来を決められるのに疑問を感じ、中学のころから反発してしましたね。特に調理師になりたかったわけじゃないけど、高校時代に飲食店のバイトで調理補助をしていて、その経験もあって選びました」
当然、これに父親は猛反対。祖父母が味方になったくれたので自分の意思を押し通すことができましたが、これが原因で父親との関係に大きな溝が。高校卒業後は実家を離れ、それからは年に一度、顔を出す程度。親子の会話も数えるほどしかなかったといいます。
自粛要請・時短営業で収入激減
ところが、調理師としてのキャリアを重ねていた成沢さんですが、勤めていた飲食店がコロナ禍での営業自粛要請を受けて休業。再開後も時短営業などで収入が激減してしまいます。
「勤務先の店を閉めることになり、社員だった自分は系列店に異動しましたが、バイトの方たちはほとんどが解雇。けど、安泰なんてことはなく運営会社が飲食部門の身売りや大幅な縮小を検討しているとの噂も出ていたんです。
そうでなくとも給料が以前の7割ほどに減った状態が続き、この仕事を続けるべきかどうかをずっと悩んでいました。生活は一応できましたが余裕は全然なかったですから。こんなことを言ってしまうと怒られそうですけど、好きで料理の仕事をしていたわけではなく、あくまで収入を得る手段としてやっていたので……」