女優・芋生悠、文通が心の支えだった学生時代「一番長く続いた子は今も友達です」
2015年から女優として活動し、どこか影のある魅力で他から抜きんでた存在として心に残る芋生悠さん(いもう・はるか、23)。現在放送中のボートレースのCMでは、地元熊本弁で自然体な空気を放ち、スクリーンとはまた違う輝きを見せています。そんな芋生さんが出演している映画『ひらいて』が公開中です。
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芥川賞作家・綿矢りささんの小説を、26歳の首藤凛監督が映画化。成績優秀で明朗活発な高校3年生の愛(山田安奈)には、思いを寄せる同級生のたとえ(作間龍斗)がいたが、たとえは、病身の美雪と密かに交際していた。それを知った愛は、たとえへの恋心を隠して、美雪に近づく……。
たとえと交際しながら、愛の存在を受け入れていく美雪に扮した芋生さんにインタビュー。美雪ではなく、愛に共感していたという芋生さんに、中学時代から続いた文通の思い出や、実はスポーツ万能な芋生さんらしいエピソードを聞きました。
自分は美雪ではなく愛ちゃんタイプ
――綿矢さんの原作も含め、この物語のどこに惹かれましたか?
芋生悠(以下、芋生):ネットなどで原作の感想を見ると、愛ちゃんの行動が理解できないという人が多くいました。確かにそうした意見もわかるのですが、私自身は、原作を読んだとき、愛ちゃんにずっと共感していました。
無我夢中だから周りが見えなくなっていて、路頭に迷っていることにも自分で気づいていない。誰かに助けてもらいたいんだけど、それもできない。自分のことも愛せずに、どんどんボロボロになっていく。そういった気持ちはよく分かります。
ただ、だからこそ美雪を演じられると思いました。愛のことを一番近くで見ていて理解している子だと感じたので。
本当に運命的だと感じました
――自分を愛せていない愛に共感したとのことですが、学生時代を振り返ってですか?
芋生:つい最近までそうでした。ちょうど1年ほど前に『ひらいて』の撮影があったのですが、その少し前までは本当に愛ちゃんタイプでした。周りが見えなくなって頭のなかがごちゃごちゃになってしまったり。
でも、コロナ禍で家にいる時間もあったことで、お花を育ててみたり、料理をしてみたり、掃除をマメにしたりしていたら、だんだん自分を自分で満たすことができたんです。撮影に入るころには、美雪になれる状態で、本当に運命的だと感じました。
――美雪については、どう映りましたか?
芋生:すごくバランスが取れていて、学生にしては達観している部分があると感じました。なので、首藤監督には「美雪はおばあちゃんみたいな雰囲気に見えました」と伝えました(笑)。柔らかい愛で人を包むことのできる、自分のこともしっかり愛せている、すごく素敵な女性だと感じました。