はあちゅう×しみけん報道でも注目。今さら聞けない「結婚の常識」
今年7月、人気ブロガーで作家のはあちゅう氏とAV男優のしみけん氏が「事実婚」を発表し、話題を集めました。
しかし、結婚といっても形はさまざま。一般的に思い浮かぶ入籍を伴う「法律婚」や今回のような「事実婚」。さらに、2016年に放映された人気ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で注目された「契約結婚」もあります。
それぞれの特徴や、メリットやデメリットは一体どういったものなのか。法律の専門家である葛西臨海ドリーム法律事務所の代表・矢野京介弁護士に伺いました。
「法律婚/事実婚/契約結婚」それぞれの特徴
――初めに、結婚にまつわる法律と法律婚や事実婚、契約結婚の違いについて教えてください。
矢野京介(以下、矢野):結婚に関わるのは民法ですね。ただ、結婚の種類については、世間的に誤解されている部分もあるので注意が必要です。そもそも法律的には、法律婚と事実婚の2種類しかありません。
法律婚は役所に婚姻届を提出するといった、おそらくみなさんが世間一般にイメージされるものです。一方で、事実婚は実質的に夫婦として認められるものの、婚姻届を提出していない関係を指します。この関係は「内縁」と呼ばれる場合もあります。
――法的には法律婚と事実婚のみということですが、契約結婚についてはどのような解釈が考えられるのでしょうか?
矢野:そもそもが俗語のためハッキリとした定義は難しいですが、おそらくは、当事者間で結婚生活に関して何らかの契約を交わしている結婚を意味するものと思われます。
このような契約を「婚前契約」や「結婚契約」と称することもありますが、先ほどの法律婚や事実婚であっても、たがいに契約を交わす場合には広い意味での契約結婚に該当すると思います。
直近では、いわゆる「紀州のドン・ファン事件」で「妻に毎月100万円を支払う」という契約がなされていた報道もありましたが、これも契約結婚の一例となるかもしれません。
――それぞれの結婚の形について、法的な視点からみたメリットやデメリットはどういったものでしょうか?
矢野:ここでもまず、法律婚と事実婚を比べたいのですが、たがいに夫婦の同居義務や貞操義務、扶助義務などがある点では共通しているといえます。ただ、事実婚を考えた場合には戸籍上の氏、つまり名字の変更が必要なく、離婚をしても戸籍に傷が付かないというのは思い浮かぶメリットですね。
反対に、事実婚では所得税の配偶者控除が受けられなかったり、パートナーが亡くなった場合に相続権がありません。また、手術などの際に医療機関の同意者に配偶者としてサインができない場合も想定されます。法律婚については、これらを裏返したものがメリットやデメリットになるかと思います。