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コロナ下でライブハウスをオープンした29歳「お客ゼロでも面白ければ」

暮らし

 2021年4月3日、大阪梅田に、キタエリア初のトークライブハウス「梅田Lateral(ラテラル)」がオープンした。オーナーは松本尚紀さん(29歳)。松本さんは、新宿ロフトをはじめとする直営10店舗の会場を持つ「株式会社ロフトプロジェクト」の「ロフトプラスワンウエスト(大阪)」の元・副店長である。

松本尚紀さん

松本尚紀さん

 2020年3月に新型コロナウイルスのクラスターが起き、3密の発生しやすい場所として槍玉にあげられたライブハウス。現在も厳しい状況が続くイベント業界で、ライブハウスをオープンしようと思った経緯とは? 松本さんのキャリアから事業戦略まで話を聞いた。

前職で1400本のイベントを担当

「ロフトプラスワンウエストに入社したのは大学生4年生のときで、最初はアルバイトとして働いていました。高校生のときからエンターテイメントに携わる仕事がしたいと考えていて、就活はしないと決めていました。当時は月1回ほどのイベントの企画からスタートしました。

 社員になったのは2015年の9月で、主な業務内容は出演者に出演依頼をする『ブッキング』なのですが、最初の数か月間は出演者が見つからず苦労したこともありました。しかし、1度出演してもらった方からの紹介で次々と輪が広がっていき、徐々にイベントを企画できるように。ロフトでは毎月40本ほどのイベントを行うのですが、そのうちの大半を私が企画するようになりました」

 ロフトプラスワンウエストに勤務した7年間で、およそ1400本のイベントの企画を担当してきた松本さん。しかし、コロナ禍でロフトグループだけでなくライブハウス業界は一変した。

苦しい状況でも可能性を見出せた

松本尚紀さん

「2020年3月、大阪のライブハウスでクラスターが発生した頃からロフトでも出演者からのキャンセルが相次ぎました。なかにはキャンセルではなく延期という出演者様もいましたが、4月に入ると全国的な緊急事態宣言が発令されて延期になったイベントがさらに延期……という状況に。キャンセルが出た日に急遽、別のイベントを開催したり有料配信を行ったりもしましたが、売上は大幅に落ち込みました

 その後、有料配信をメインとしたイベントに移行していったのですが、カメラワークや音響調整などさまざまな配信業務を学ぶことができたんです。コロナ禍で苦しい状況ではありましたが、自分の中ではいろいろ勉強できて楽しかったですね。大変な時期ではあるけれど、有料にも関わらずチケットが1000枚以上売れるイベントもあってイベント業界に対して可能性を見出せた気がしたんです

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