アマゾン「音声コンテンツ事業」の勝算。有料会員は昨年の2倍超に
インターネット上で音声コンテンツが楽しめる「ポッドキャスト」や、本を音声で聴く「オーディオブック」に注目が集まっている。音声コンテンツと言うと、ラジオや音楽など娯楽面の印象が強い若手ビジネスマンも多いだろうが、さまざまなサービスが登場したことで、最近では自己啓発やビジネスの側面でも期待が寄せられている。
そんななか、世界最大級のオーディオブック及び音声コンテンツ制作・配信サービスの「Amazon オーディオブックAudible」はビジネスや自己啓発、語学、文学など幅広いジャンルの中から好きなコンテンツを選び、いつでもどこでも耳で楽しめるのが特徴だ。
今回は、アマゾン合同会社 Audible事業部 ビジネスアフェア・コンテンツ部のキーリング・宮川もとみ氏に、オーディオブック市場の将来性や今後の展望について話を聞いた。
音声コンテンツは忙しい現代人に合う
宮川氏は、日本国内のAudible事業立ち上げに2014年から関わっているとのことだが、当時から「これから音声コンテンツの時代が絶対来る」と感じていたそうだ。
「私自身、イギリスでファッションビジネスを学んでいた頃に音声コンテンツを初めて知ったのですが、最初はものすごく地味な印象でした。ただ、よく考えてみると、音声コンテンツは新たな“メディア”としていろいろな可能性があると思うようになった。オーディオで本を聴くスタイルは、目と手が離せない状況でも“ながら作業”を可能にし、時短に繋がるため、忙しい現代人に合うのではと考えたんです」
また、若者を筆頭にした日本人の“活字離れ”により、読書に費やす時間が少なくなっている状況に対しても、音声コンテンツであればスマホから気軽に聞けるという利点にも注目したという。
広がる音声コンテンツへの関心度
「日本人は小説やアニメなど物語を作ることに対して非常に長けていますが、本を読む人の割合が少なくなっている。音声コンテンツが普及すれば教養を身につける機会が増え、日本人の文化教養レベルも上げていけると思ったんです」
2017年には「Google Home」や「Amazon Echo」といった新たなデバイスの登場によって、かつての朗読テープやカセットブックではない、より気軽に聴ける音声コンテンツへの関心度が高まった。こうして「音声」が次世代の媒体として注目されるようになったことも、Audibleがビジネスを広げる契機にもなったわけだ。
日本の音声コンテンツ市場セグメントは、欧米の盛り上がりに比べればまだまだ未成熟な部分はあれど、昨今はさまざまなサービスが登場している。国内発の「audiobook.jp」やVoicy、radiko、海外発のApple、Google、Spotifyなどが挙げられるが、これらの企業とどのような差別化を図っているのだろうか。