元官僚YouTuberが告白「霞が関からブラック労働はなくならない」
「官僚のことを身近に感じることは難しい」そう語るのは、“元官僚系YouTuber”としてYouTubeやTwitter上で情報発信を続けるおもちさん(@ex_kanryo_mochi)。おもちさん自身も、もともとは中央省庁に務める国家公務員、いわゆる官僚でした。
昨今では月に数百時間に及ぶ残業など、その過酷な労働環境を指摘する声も少なからず上がっています。その背景にはどのような問題があるのか。そしてなぜおもちさんが元官僚として情報発信するようになったのか。
前回のインタビューでは霞が関がブラック企業化する理由を聞きましたが、後編では過去の行政改革の影響についてお話を聞いてきました。
過去の行政改革の影響も
――ブラックな省庁、ホワイトな省庁があると指摘しています。これも具体的な労働時間を把握できていないことが大きな要因となっているのでしょうか。
おもち:そうですね。付け加えるとすれば、過去の行政改革の影響もあるように思います。昭和40年~50年頃の行政改革により、スクラップ・アンド・ビルド、簡単に言うと、基本的に公務員を増やさないルールが確立しました。その当時は、高度成長期ですから、今よりも雇用が安定しており、少子高齢化の問題も生じていなかった。
そういう意味で、厚生労働省などの仕事は今より多くなかったんです。今はそれらの問題が生じており、過去に決められた定員の中で業務だけが肥大化するという構造的な問題が生じてしまっています。
今でもさまざまなものが、この行政改革を基準に決められています。つまり、ある省庁が他の省庁と比較して極端に忙しかったとしても、人員は昔から変えないということになっている。そのため残業時間がこれだけあるから人員をこれだけ増やせばいい、といった議論にもなりづらくなっているのではないでしょうか。
1回全てフラットに見て、どの省庁がどれだけ忙しいかというのを可視化し、必要な業務効率化や人員配置について議論する必要があると考えています。
発信側が努力する必要がある
――一部では官僚が過酷な状況で働いていること、そもそもどんな仕事に従事しているのか実態が伝わっていないように思います。情報発信をされてきて、率直にどうお考えですか。
おもち:発信する側が官僚やその仕事を知っていただく努力をする必要だと思っています。普通の暮らしの中で、現役の中央省庁務めの方に出会う機会は少ないため、知り合いでないと、身近に感じられないのではないでしょうか。
私自身、国家公務員を志すまで、国会議員と官僚の違い、どういう役割分担があるのか、正直わかりませんでした。ただ、私としては中央省庁で働いている方が身近にいて、その人達のことを、ネガティブに言う人はほぼいないという認識です。なぜかというと、彼らが心の底から、この国のことを考え、仕事をしている姿を知っているからです。
個人的にはもっと発信側が努力する必要があると思っています。1つのやり方としては、国会議員と官僚が個別にこういうやりとりをしている、その姿をYouTubeライブなどで流すことなどを今より進めてもいいのではないかと思っています。官僚について知っていただくだけでなく、行政-立法府で非効率なことをしていた場合のチェックにも繋がりますから。