区役所職員がコロナ対応で悲痛な叫び「自死者が出てもおかしくない」
新型コロナウイルスの影響が広がるなか、安倍首相は4月7日、緊急事態宣言を発令。16日には宣言の対象地域を当初の東京・大阪など7都府県から全国へと拡大しました。感染爆発を食い止めることを目的としたものですが、人びとの生活を維持するための「現場」で働く地方自治体の職員たちには、大きな苦悩があるようです。
都内の区役所の、保育関係を扱う部署で働く吉井さん(仮名・男性・29歳)は、「新型コロナ関連の対応で、どの部署も疲弊しきっています」と語ります。
コロナ関連の業務に圧迫され、残業続き
「ただでさえ年度の切り替わりで忙しいのに、コロナ関連の対応が通常業務を圧迫して、毎日のように残業しています。公務員って定時で帰れる職業だと思っている人も多いですけど、実際は区役所を出るのが23時すぎになることもザラにありますよ……」
緊急事態宣言を受け、自治体で新たにスタートさせる施策を検討するなど、現場では新たな業務が生まれているそう。また区民からの問い合わせも急増しているといいます。
「緊急事態宣言に関していうと、国の発表があってから自治体が細かい対応を決定し、区のサイトなどで発表しているのですが、何せイレギュラーな内容なので区民からの問い合わせが殺到しています。ぼくのいる課だと、『保育園が休園になった場合、保育料は減額されるのか』とか。毎日、毎日同じことばかり聞かれるので、“同じことばっかり言うマシーン”になった気分ですよ」
“強制力のなさ”が現場の手をわずらわせる
さらに対応を難しくしているのが「緊急事態宣言の強制力のなさ」だといいます。厚生労働省は緊急事態が宣言されている地域の保育所について、受け入れの縮小を検討するよう求めていますが……。
「保育園は、区によって“原則休園”・“自粛要請”と対応が分かれています。うちの区は自粛要請としているので、保育園に預ける親から『原則休園って言ってくれれば、会社を休めるのに……』と言われることもあります。
でも、言い方が違うだけで結局やることは同じなんですよ。どちらの場合も、自宅で保育することを要請していますが、社会インフラを支える職業の親には保育を提供できるとしています。強制力がないから、行政からしても単なるお願いにしかならないんです」
海外で実施されているような法的強制力のあるロックダウンではないことが、現場をより一層混乱させている要因のようです。