国内No.1コスメサイトが、巨大な実店舗をつくった理由と野望
世の中には、星の数ほど化粧品が存在する。人それぞれ肌質が異なることはもちろん、メイクによってどう「自分らしさ」を演出するかなど、女性は化粧品選びに余念がない。
化粧品を選ぶ基準のひとつとして「口コミ」が挙げられる。使い心地やコスパに合うかなど、購入前に知りたい情報を口コミで確認したいと思うのが女性の本心だろう。
原宿駅前にアットコスメ旗艦店を開業
「アットコスメ(@cosme)」は、日本最大級のコスメ・化粧品の口コミサイトとして知られている。1999年のサービス開始以来、成長を続けており、現在では国内外3万以上のブランド、32万点以上の商品データベースを扱い、月間3.1億PVを誇る。
同サイトを運営する株式会社アイスタイルは、今年1月10日にアットコスメの旗艦店となる「@cosme TOKYO(アットコスメトーキョー)」を原宿にオープン。3フロア構成で、400坪もの売り場面積を誇る巨大な店舗だ(※取材は3月25日実施。緊急事態宣言を受けて現在は休業中)。
同社グループ企業である株式会社コスメネクストの遠藤 宗代表取締役に、アットコスメ最大の旗艦店をなぜ原宿にオープンさせたのか。また、アットコスメトーキョーが目指す新しい顧客体験とは何かについて話を伺った。
裁量持って運営できる場所を探していた
アットコスメトーキョーの場所は、以前はアメリカンカジュアルブランド「GAP(ギャップ)」の旗艦店だった。ファストファッション業界の衰退に伴い、GAPも原宿の旗艦店を手放せざるを得ない状況となったのが2019年の5月だった。
「旗艦店を作る前は『アットコスメストア』というリアル店舗をファッションビルやショッピングセンター(SC)中心に出店していましたが、什器やリテールテックの試みなどもっと自由が利く場所を探していました。
そう思っていた矢先に、原宿駅目の前の場所を見つけたのです。周囲に百貨店がないため、デパコス(デパートコスメ)でも出店計画が立てやすいことが、出店を進めた大きな理由ですね。余談ですが、原宿の駅舎リニューアルや新複合施設については、出店計画を立てている時は知らず、後付けで聞いたことになります」(遠藤氏、以下同)
化粧品業界の商習慣では、周辺の百貨店で取り扱いがあると、その百貨店に入っている化粧品ブランドは近隣の化粧品店とは取引しないという暗黙のルールが存在し、原宿駅前はエアポケットのように空いていた。そこに、タイミングよくアットコスメが進出した形となったわけだ。